明治安田生命J1リーグ第11節で名古屋グランパスが次に戦うのは湘南ベルマーレ。走力に長けていながら現在最下位と振るわない。しかし、騙されるなと言わんばかりの注意喚起をフィッカデンティ監督は促している。

上写真=東京戦では悔しい黒星だったが、湘南に注意を払いながら勝ちにいく(写真◎Getty Images)

「名古屋を止める参考になる」

 マッシモ・フィッカデンティ監督は常に正しい分析を求めている。次節の相手は、1勝1分け8敗の勝ち点4で最下位に沈む湘南ベルマーレ。その先入観こそが危険であるとアラートを発するのだ。

「ここ5〜6試合の映像を見ても、唯一、内容として良くなくて負けるべくして負けたと思うのが横浜FC戦でした。前半でああいうスコア(0-4)でしたから、試合の入り方ややられ方が良くなかったとは思います。しかし、他の試合は、それこそセレッソや川崎が相手でも、これで負けてしまうのかという、内容だけ見れば勝ってもおかしくない試合が多かったと思います」

「順位の通りに内容が悪い、という見方をしてはいけないし、下位だからいつもより苦戦しないだろうという入り方したら思いっきりやられてしまうでしょう。どういうサッカーをしているかを分析して、最高の準備をするべきだと思っています」

 前節の手痛い黒星が、さらにその警戒心を強くする。第10節はフィッカデンティ監督の古巣でもあるFC東京に0-1で敗れた。中2日の名古屋と中5日のFC東京でコンディションに差があることを前提にしながらも、やはり悔しい思いは消えない。

「どういったところにうちの強さがあるか、そこを消すサッカーを相手がしてきたのでスムーズさや切れがなかった」

「東京は守りに徹してきて、何かいいところ出してきたかというと、私たちを前に出させて空けてしまったところを使ったり、逆にこちらがいい状態で受けるところを完璧に崩したというシーンはありませんでしたし、失点シーンでも用意された罠にまんまとハマってしまいました。こちらが神経を集中していればはまらなかったはずですが、罠があると分かったので次は同じミスはしません」

「(味の素スタジアムは)よく知っているスタジアムなので、すごくいいグラウンドだと思ったのですが、試合が始まってみたら、1時間も大雨が降ったような、田んぼのような状態でした。それが我々のプレーにかなり影響がありました。彼らはそういうスペクタクルを見せたいと思ったのだからしょうがない」

 嘆き節はつまり、専守防衛とグラウンドの状態を重くすることが、パス回しやドリブルなどのスピード感という名古屋のストロングポイントを消すのに有効である、ということを言っている。そしてそれが「どうやって名古屋を止めるのかの参考になると思う」のだ。

 では、湘南も同じように守ってピッチに大量の水をまくかどうか。それは分からないが、もうこれ以上、首位の川崎フロンターレに離されるつもりはない。