前節、名古屋グランパスに大敗した嫌な流れを払しょくしたのは、今季加入の『夏男』だった。レオナルドが4試合連続となるゴールを決めて、チームを勝利に導いた。J3、J2と各カテゴリーで得点王に輝いた得点力はやはり本物だ。

上写真=開始5分、PKを決めてガッツポーズを見せたレオナルド(写真◎Getty Images)

■2020年8月15日 J1リーグ第10節(@埼スタ/観衆4,287人)
浦和 1-0 広島
得点:(浦)レオナルド

4試合連続弾で得点ランク単独2位に

 開幕前から「得点王を狙う」と公言している男の実力は、やはり本物である。気温33度の中でキックオフした広島戦でもシュート技術の高さを見せつける。

 0-0で迎えた5分、カウンターでボールを運んで、狙い済ましてスルーパス。相手の裏に走った汰木康也がペナルティーエリア内で倒れてPKを誘発すると、すぐさま駆け寄った。当然のようにボールをセットし、集中力を高めていたのはレオナルドである。細かいステップでGKをじらすように助走を取り、見事に相手の逆を突いてゴールネットを揺らした。

 4試合連続ゴールで、今季7点目。本人は何よりも今季初のPKが決勝ゴールになったことを喜んだ。

「きょうは勝利が必要だった。チームとして自信を取り戻さないといけなかったからね。困難を乗り越えることが、この試合では大事になった」

 試合後の会見では自身のPKにほとんど触れなかったが、実は十八番。ブラジル時代からPKになると、真っ先にボールをセットし、決め続けてきた。J3のガイナーレ鳥取でも、J2のアルビレックス新潟でも、当たり前のようにキッカーを務め、落ち着いて仕事を完遂。浦和では初めてPKを任さたものの、ゆったりとした助走から蹴るスタイルは昔から変わらない。余計な力は入れず、7割程度のキックでコースを突く。以前に話してくれたことがある。

「PKはトレーニングの賜物。どのクラブに行っても、必ず練習してきた。だから、僕は自信を持って蹴ることができるんだ。ただ、昨季は1度だけ失敗したんだけどね」

 得意のPKまで沈めて、8月に入って4点目。得点ランクは単独2位となり、いよいよ手がつけられなくなってきた。夏場には強いと言い放つブラジル人ストライカーの言葉に嘘はないようだ。

取材◎杉園昌之