上写真=西川はプロ初ゴールにこの笑顔(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月15日 J1リーグ第10節(@三協F柏:観衆2,603人)
柏 1-3 C大阪
得点:(柏)オルンガ
(C)ブルーノ・メンデス、オウン・ゴール、西川 潤
「おめでとうって言ってもらいました」
ニッポンの宝がプロ初ゴールの花火を打ち上げた。
柿谷曜一朗が相手に囲まれながらも、自陣から得意のドリブルでカウンターを仕掛ける。西川潤はすかさず反応した。「曜一朗くんが持ったら絶対にチャンスになる」と分かっていたからだ。
相手DFと駆け引きしながら、するりと前へ。「あそこに落としてくれると分かっていた」というペナルティーエリアの右角より少し内側のあたりに迷いなく走り込んだ。届けられたボールと猛然と向かってくるGKを見ながら、あざ笑うかのように左足アウトサイドにうまく当ててループシュートを無人のゴールに送り込んだ。
2-0とリードこそしていたものの、試合の主導権はずっと柏レイソルのもの。83分に右サイドハーフとして投入されてからわずか4分のダメ押しゴールで柏のあきらめを誘い、苦しむチームを救ってみせた。
桐光学園高時代から将来を嘱望され、高校2年の2019年3月から特別指定選手としてC大阪でプレーすることに。今季は再開前日に負傷して、スタートダッシュに乗れなかったが、8月5日のJリーグYBCルヴァンカップ、浦和レッズ戦で今季初出場して、カウンターからドリブルで相手4人を引きつけてから優しいラストパス、豊川雄太の決勝ゴールをアシストした。そして、次にチャンスを得たこの柏戦でプロ初ゴール。続けて結果を残すとは、やはり何かを持っている。
「率直に言うとうれしい気持ちが一番大きいかな」「みんなには初ゴールおめでとうと言ってもらいました」と振り返ってはにかむ表情は初々しいが、ゴールセンスは成熟したプレーヤーのそれ。
「ケガもありましたし、出場機会が少ない中でもチャンスで結果を残していくのは目標として考えていたので、これを自信に変えていけたらいいと思います」「得点、アシストに直結するプレーを目標にしていたので良かったかなと思います。でも、それ以外で精度を上げることはたくさんあるので、そこはこだわっていきたい」と浮ついたところはない。
独特の間合いとリズムで、短い時間でもスケールの大きさを感じさせたレフティー。プレーする西川にも見る私たちにも、楽しみな未来が待っている。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE