8月12日、ガンバ大阪はルヴァン杯第3節で湘南ベルマーレと対戦し、2-1で勝利した。この2ゴールを挙げたのが、トップチームではデビュー戦となったFW唐山翔自。G大阪アカデミーで育ったストライカーは「(運を)持ってる」と語り、満面の笑みを浮かべた。

上写真=勝利の立役者となった17歳のFW唐山(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月12日ルヴァンカップ・グループステージ第3節(@BMWス:観衆4,236人)
湘南 1-2 G大阪
得点:(湘)山田直輝
   (G)唐山翔自2

指揮官の期待を上回る活躍

「その時」は、あまりに早く訪れた。開始12分、敵陣左サイドで得たFKを山本悠樹がゴール前へ送り込むと、ファーサイドで合わせたのは唐山翔自。「悠樹くんのボールは質が高いので、抜けてくると思っていた。マンマークを外して、うまく打つことだけを考えていた」。言葉どおり、そしてイメージどおりのゴールで、チームに先制点をもたらした。

 さらには39分、次なるチャンスも逃さなかった。打ち込まれた縦パスからワンタッチでボールがつながり、最後は高木大輔がボックス内からクロス。相手DFに当たって少し軌道がずれたが、それも唐山は「おいしさ」に変えた。「バウンドが変わったのに足を当てられた。あれは難しいと思っています。練習の賜物かと思います」。舌もどこまでも滑らかだった。

 すでにグループステージ敗退が決まっているG大阪は、若手を多く先発させた。その1人が、10代3人がメンバー入りした中でも最年少となる17歳の唐山だった。ジュニアからガンバ一筋で、昨季はG大阪U-23の一員としてJ3で10試合に出場。8得点を奪っており、期待はすでに高かった。

 それでも、起用した宮本恒靖監督さえも「2得点は想定外」と驚く活躍ぶり。途中交代をイメージしていたというが、ハットトリックの期待もかけて、フル出場させることになった。

 最高のトップチームデビューに、「自分、持ってるなあと思いました」と浮かべる笑みは、まさに高校生のもの。ビッグマウスかと思いきや、「昨日は寝られなかった」と、17歳らしさものぞかせる。

 だが、自身のプレーの分析は、プロクラブの一員らしいものだった。

「得点を取るという部分と動き出しは通用すると思ったけど、縦パスを受けた後のボールコントロールや足元で受けるときの動きは、まだまだこのレベルではやっていけないなと思った」

 子どもと大人の顔が同居する新星に、今後も注目だ。

取材◎杉山 孝