JリーグYBCルヴァンカップでプライムステージ進出を決めた柏レイソル。これで公式戦5連勝と波に乗っている。その柏にあって守備を引き締めているのがセンターバックの大南拓磨だ。真摯な姿勢で壁となる秘訣を聞いた。

上写真=大南は「自分も仲間を救えるように」と引き締める(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月5日 YBCルヴァンカップDグループ第2節(@三協F柏:観衆1,949人)
柏 1-0 湘南
得点:(柏)呉屋大翔

「周りに助けられている」

 大南拓磨がピッチに立つと、勝つ。

 もちろん、背番号25を付けたセンターバックの貢献だけによるものではないが、事実、勝ち続けているのだ。

 今季、ジュビロ磐田から加わった新戦力。出番を得るには7月18日のJ1リーグ5節、湘南ベルマーレ戦まで待たなければならなかった。それまでの再開後リーグ3連敗という事態に、ネルシーニョ監督がメンバーをテコ入れしたことでチャンスが巡ってきた一人だった。するとリーグ4試合、そしてこの日のルヴァンカップ2節の湘南戦まで5試合すべてにフル出場を続け、見事に全勝という結果を残している。

「リーグ戦の方の湘南戦が久々の試合だったんですけど、そこからまずはシンプルにやろうという感覚で入って、少しずつ余裕ができてきました。周りに助けられているのが大きいと思います。ずっと勝っているので続けていきたいですね」

 柏の4バックにおいて、センターバックを組むのは高橋祐治が3試合で、ここ2試合は山下達也だ。出場を続けているのは大南だけなので、周りに助けられている、というのは少しだけ謙遜が含まれているかもしれないと思わせるほどの安定感だが、「今日は本当に山下くんに助けられたので、自分も仲間を救える立場になれるように成長していきたい」とパートナーへの感謝を忘れない真摯で純真な姿勢が、好調の秘訣なのかもしれない。

 このルヴァンカップの湘南戦では、序盤は湘南の好調さに押される時間が続いた。センターバックとしては我慢のタイミング。それが徐々に好転していったのは、「もうシンプルに、セカンドボールが拾えるようになったからだと思います。最初は相手の裏へ蹴っていても跳ね返されてしまって、そのこぼれ球を拾えなかったけれど、拾えるようになってから自分たちの時間になっていきました」からだと分析する。「それで攻撃に移れたことで、前向きに全員で守備ができるようになりました。前からの守備がはまったのが大きかったですね」と後ろから仲間たちの奮闘を頼もしく見つめていた。

 出場した5試合のうち、完封が3試合もあるのも安定の証拠だろう。「跳ね返す部分はセンターバックの仕事なので、できていると感じています」と空中戦で貢献している自負はある。「カバーリングや1対1の対応も自信があるところです」と、もちろん地上戦ももってこい。一方で冷静にリストアップするのが課題の部分で、「いまはセンターバックの左をやらせてもらっているので、左足のキックの質ですね。ボールを持ってボランチにつけるタイミングも課題だと思っています。今日も左足のキックをミスしてしまいましたけど、いまは気持ちが前向きにプレーできているので、そのミスも容認してやっています」と笑みもこぼす。

 次はリーグ戦で、昨季チャンピオンの横浜F・マリノスと激突する。昨季は磐田の一員としてリーグ戦で一度、対決している。しかし結果は、0-2。あの日からどれだけ成長したのか、見極めるには最高の相手で、最高のタイミングだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE