ヴィッセル神戸のMF佐々木大樹が29日、練習終了後にオンラインで取材に応じた。プロ3年目の佐々木は26日のガンバ大阪戦で今季初先発。これまではアタッカーとして活躍してきたが、今シーズンは新境地を開拓している。

上写真=ビデオ会議アプリを通じて取材に対応した佐々木(写真◎VISSELKOBE)

中盤の底で攻守に奮闘

 クラブ公式ホームページでの佐々木の紹介は次のとおり。

「2018年にヴィッセルU-18からトップチームに昇格した生粋のアタッカー」

 だが今季、佐々木はアタッカーではなく中盤の底、いわゆるアンカーで起用されている。第4節の大分トリニータ戦、第6節のセレッソ大阪戦ではいずれも75分から出場。いわば守備固めのような形でピッチに入った。そして第7節のG大阪戦で今季初めて先発。アンドレス・イニエスタ、山口蛍と中盤でトライアングルを形成し、66分までプレーした。

 2シーズンぶりに先発した感想を聞くと「正直もう少し結果を残したかった。得点につながるプレーやアシスト、ゴールという数字を意識したい」と返答。言葉には昔の名残が感じられるが、挑戦中のアンカーについて「やり甲斐のあるポジションで楽しい。最近は守備の楽しさを感じている」という。

 武器は「球際の部分」と自認する。「監督からは、セルジ(サンペール)にないものがある、僕の良さを出していけと言われました」。守備的な役割でのプレー経験はサッカー人生を通じて「指で数えられるくらい」だったというが、「どこでもできる。ここでやりたいというのはない」とコンバートをすんなり受け入れた。昨年の悔しさが大きかった。

 2018年8月から1年間、ブラジルの名門パルメイラスへ期限付き移籍し、サッカーの本場で実力を磨いた。だが、自信を胸に帰国した佐々木に待っていたのは厳しい現実だった。8月にチームに合流するも1度もベンチ入りすらできず、2019シーズンが終了。「帰ってきた当初は勘違いしていた」。心を入れ替えた今季はユース時代以来、頭を丸刈りにしている。「そんなに深い意味はないですよ」と語るが、おそらく決意の表れだろう。

「意識している選手はいない。守備もできて、攻撃も参加できる選手になりたい」

 日々学びながら、自分なりのアンカー像を模索している。「守備の面では1対1を見てほしいし、攻撃では持ち上がったときのパスやドリブルを見てほしい」。気持ちはアタッカーのまま。強気の姿勢で定位置獲得に挑む。