横浜FC戦で今シーズン初先発を果たしたセンターバックの槙野智章は、コーチングと集中した守備で最後まで最終ラインを引き締めて、無失点を実現。浦和レッズにとって3試合ぶりの勝利に大きく貢献した。

上写真=大きな声で仲間を盛り立てチームの守備を引き締めた槙野(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月26日 J1リーグ第7節(@ニッパ球/観衆2,580人)
横浜FC 0-2 浦和
得点:(浦)レオナルド、エヴェルトン

プロ生活で初めての状況

 声を出しての応援を禁止されているスタジアムには、槙野智章の野太い声がよく響いた。浦和の無失点勝利に貢献すると、満面の笑みを浮かべて、仲間たちと喜んだ。

「外から2連敗しているチームを見ていると、元気がなかったので、きょうは西川周作、鈴木大輔と90分間、声を上げて盛り上げていこうと話していたんです。それを最後まで貫くことができたのは良かったと思います。踏ん張るところで踏ん張れました。それがレオナルド、エヴェルトンのゴールにもつながったと思っています」

 センターバックとしても、最終ラインを積極的に押し上げ、全体をコンパクトに保ち続けた。相手にクロスを上げられてもマークを見失わず、しっかりとはね返す。持ち味である競り合いの強さはより際立っていた。

 筋骨隆々とした体は、中断期間中も欠かさずに取り組んできた筋力トレーニングの賜物だ。これまではあまり取り組んでこなかった上半身も鍛え上げた効果はてきめん。今季は開幕からベンチスタートで、再開後も出場機会に恵まれず、自らを見つめ直した。

「プロ生活でも初めての状況だったので、悔しさもありました。ただ、自分のやるべきことが整理されたと思っています。それをきょうはできたと思う。ベテランの意地ですね」

 横浜FC戦ではチームがピンチを招いたときも雰囲気を盛り上げ、最後まで集中を切らなかった。

「いつ呼ばれてもいいように準備していましたから。なかなかチャンスをもらえないなかでも、いいプレーができたと思います。自分のミッションはコンプリートできました」

 前向きな33歳は快活な口調で一気にまくし立て、堂々と胸を張った。まだまだ元気である。

取材◎杉園昌之