明治安田生命J1リーグは7月22日に第6節。中3日での戦いとなったが、アウェーの柏レイソルが浦和レッズを4-0で下した。前半は浦和が主導権を握ってチャンスを多く作ったが、後半に入ると柏が盛り返し、意外な大差がついた。

上写真=柏が流れを決めた2点目は、オルンガのヘッドから(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月22日 J1リーグ第6節(@埼玉:観衆4,127人)
浦和0-4 柏
得点:(柏)ヒシャルジソン、オルンガ、仲間隼斗、神谷優太

「サポーターに謝罪したい」と大槻監督

 最初の45分、主体的にボールを動かしたのは浦和レッズだったし、相手の守備を崩した回数も、決定的なチャンスの数も、明らかに浦和の方が多かった。ところが、リードして折り返したのは柏レイソルの方だった。

 32分、浦和がゴールキックをペナルティー・エリアの中で小さくつないでいたところを、狡猾なリシャルジソンが狙っていた。西川周作から柴戸海へのパスを引っ掛けると、そのまま西川の脇を抜いてゴールに流し込んだ。柏にしてみれば、我慢を続けたご褒美のようなものだったかもしれない。比較的早いタイミングからのクロスで糸口をつかもうとしたが、単発の攻撃に終始してなかなか好機は巡ってこなかった。浦和の絶好機を、中村航輔のビッグセーブや高橋祐治のライン上のクリアでなんとかしのいできた。そんな中での意外な先制点。

 浦和は不注意からゴールをプレゼントする格好になったのだから、もったいなかった。そしてこの小さな穴は、残り45分で意外なほど大きく広がることになった。

 柏はハーフタイムに前に急ぎ過ぎな攻撃を修正すると、ボールを失わなくなって攻守に安定。シンプルなクロスも効果を発揮し、これが連続で結実したのが大きかった。後半開始から間もない51分、右サイドバックの古賀太陽が大きくファーへクロスを送ると、オルンガが待っていましたとばかりにヘッドでループ気味にゴールに送り込み、その6分後には今度は左サイドバックの三丸拡が同じようにファーに飛ばし、神谷優太がヘッドで叩きつけて跳ね上がったボールが岩波拓也の頭を越えたところを、仲間隼斗もヘッドで流し込んで2試合連続ゴールを決めた。あっという間の3-0。

 浦和は54分に汰木康也を、59分に一気に興梠慎三、杉本健勇、伊藤涼太郎を投入し、88分にも長澤和輝をピッチに送って反撃を試みるが、焦りからか攻撃が中央に集まりすぎて柏の守備陣を崩せないまま。

 柏は89分には中盤のセカンドボールを拾った神谷がそのまま持ち込んで、ペナルティーエリア手前から目の醒めるようなミドルシュートを叩き込んで4-0とし、試合を締めた。

 ネルシーニョ監督は自らの70歳の誕生日を圧勝でお祝い。「後半にボールをもっと握ろうと話して、攻守のバランスが良くなった」とハーフタイムの指示が勝利に直結したことを喜んだ。一方で、連敗となった浦和の大槻毅監督は「サポーターに謝罪したい。(2失点して)バランスを前めにかけなければいけなくなったことで難しくなった」と逆の分析。重心の置きどころで、ゲームの行方が変わってしまった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE