前節、首位だったセレッソ大阪を敵地で下し、再開後の3試合は2勝1分け。名古屋グランパスは今季、公式戦6試合を戦っていまだ負けなし。順位もリーグ戦の4位と好調だ。週末のサガン鳥栖戦前にマッシモ・フィッカデンティ監督が取材に応じた。

上写真=好調名古屋を率いるフィッカデンティ監督(写真◎Getty Images)

先発するのは前田か山﨑

 明日18日の鳥栖戦、再開後のチームを前線で引っ張っているFW金崎夢生は出場できない。その理由は金崎が現在、鳥栖から名古屋にレンタル移籍中の身であり、レンタル元との試合には出場できないという取り決めがクラブ間にあるからだ。

 イタリア人指揮官には、この取り決めが何とも不思議なものと映っていた。

「金崎夢生は非常に重要な選手で、不在はとても大きい。あまり日本以外の国で、レンタル中だからそのチームと試合できないというのはあまり聞きません。私は前からおかしなルールだと思っていました。もちろん、私は人生の中で日本で働くということを選んだわけなので、日本のルールに従います。文句が言いたいのではなく、率直におかしいと思いますし、ほかの方はそう思わないのかなと」

 金崎が鳥栖戦に出場できないことについて聞かれると、フィッカデンティ監督は率直な思いを口にした。

「選手が1試合、プレーできないわけです。サポーターの方もそのプレーが見られない。選手にとって、チームにとって、サポーターの方にとっても、誰も幸せにならないルールだと思います」

 金崎はシーズン開幕後の今年3月に鳥栖から名古屋にレンタル移籍という形で7年ぶりに復帰した(契約は2021年1月31日まで)。リーグ再開後の3試合では、清水戦に途中出場し、G大阪戦とC大阪戦は先発。文字通り、好調なチームの攻撃をけん引しているが、くだんの取り決めのために鳥栖戦には出場できない。指揮官は柱になりつつあるFWが不在の中で、どう戦うのか。

「幸せな悩みなんですが、今年、私は多くの選択肢を持てています。プレー機会があまりない選手は、試合が出られるチャンスがあったときにどれだけのことを見せつけらるかが重要ですが、出られないからといって拗ねて練習で手を抜いたり、そういう取り組み方をしている選手はここにはいません。最近、先発していた金崎が出られないわけですから、ほかの選手が出るという中で、選手たちが姿勢を見せてくれている。頼もしく感じています。前田(直輝)か、山﨑(凌吾)か。状況をギリギリまで見極めた上で選ぼうかと思っています」

 再開後、好循環の中にあるチームにとって、前線で存在感を示している金崎の不在は当然痛い。ただ、今回のような契約上の制約がなくとも、今季は異例の過密日程であり、疲労を考慮して選手が不在となるケースは十分にあり得る。選手が入れ替わる中でいかにチーム力を落とさず戦っていけるかが、2020年シーズンを戦う上での大きなポイントだろう。鳥栖戦は名古屋にとって、その意味からも重要な試合となりそうだ。