北海道コンサドーレ札幌の大卒ルーキー、DF田中駿汰が湘南ベルマーレ戦でプロ初先発を果たした。持ち味を発揮しつつ無失点に貢献したが、それでも満足することなく、レギュラーに向けて進化を誓っている。

上写真=プロ初先発で無失点に貢献した田中。ペトロヴィッチ監督も評価した(写真◎Getty Images)

■2020年7月12日 J1リーグ第4節(@BMWス:観衆3,327人)
湘南 0-0 札幌

3連戦の最後で初先発のチャンス

 北海道コンサドーレ札幌はリーグ戦再開後、移動時の新型コロナウイルス感染拡大リスクを避けるため、千葉で合宿を行なわざるを得なかった。それでもハンディを物ともせず、前節まで2連勝を飾っており、その2試合は先発メンバーも不動だった。

 だが、3連戦の最後となる湘南ベルマーレ戦では、2つのポジションで入れ替えがあった。1つは負傷したFW鈴木武蔵に代わり、MF駒井善成が入ったシャドー。もう1つの『新顔』が、大阪体育大から加入したルーキーで、3バックの中央に入ったDF田中駿汰だった。

 勝利した最近2試合で交代出場していた田中は「監督からも『自信を持って、慌てずやればいい』と声をかけてもらっていたので、自信を持ってできたかなと思う」と語ったように、浮足立つことなく試合に入った。35分にはDF福森晃斗の左CKに合わせ、相手DFと競り合いながら頭で合わせる。GKに阻まれてデビュー戦初ゴールこそならなかったが、守備以外でも持ち味を発揮した。

 さらに、前線へと正確に届けるロングパスも披露。「守備のポジションなので、無失点に抑えることは最低限と考えていた。ビルドアップでは、自分を起点にパスを出せればさらに活性化できると思うので、もっとできたところかなと思う」と、収穫と課題を口にした。

 ペトロヴィッチ監督は疲労を考慮して、太ももに問題があったというMFチャナティップを含め、後半開始から4人を一気に交代させた。田中は途中で中盤へとポジションを変えながらも、そのままフル出場。3連勝はならなかったものの、0-0での勝ち点1獲得に貢献した。

 田中の先発起用についてペトロヴィッチ監督は「キャンプからここまで、そして最近の試合で非常に良いものを見せていた。今日も良いプレーを見せてくれた」と評価した。指揮官が「我々は資金的にも、代表選手がベンチにいるようなチームではない。新卒の選手たちが、ここまで良いものを見せてくれている。そうした選手を鍛え、さらに成長していけるように頑張っていきたい」とも語る札幌において、田中のような選手の台頭は大きな力となるはずだ。
 
 出場した3試合では負け知らずとなったが、本人は安心感にあぐらをかくことはない。「ただ出るだけではなく、出たときには自分の強みを出して勝つことを目標にしている。そうしないと、ポジションをつかめないと思う」。ただひたすらに、前だけを見据えている。

現地取材◎杉山孝 写真◎Getty Images