開幕から泥沼の4連敗、J開幕前の公式戦も含めると6連敗。鹿島アントラーズは、もがいている。07年、08年、09年のリーグ3連覇を含む4度の優勝を経験した遠藤康は、苦しむチームの状況をどう見ているのか。
上写真=「悲観する内容ではない」と語った遠藤康(写真◎山口高明)
■2020年7月12日 J1リーグ第4節(@埼スタ:観衆3,094人)
浦和 1-0 鹿島
得点:(浦)エヴェルトン
(鹿)なし
悲観する内容ではない
2試合連続でノーゴール。開幕から4連敗となり、クラブワースト記録まで更新した。危機的な状況に陥っているが、鹿島で4度の優勝を経験しているベテランの遠藤康は焦っていなかった。むしろ、落ち着いた表情で現状を見つめている。
「開幕4連敗という言葉は嫌だけど、悲観する内容ではない。きょうの試合を見ていた人は分かるはず。ピンチらしいピンチはほとんどなかったし、攻めの形も数多く作っていた。もちろん、負けたのは悔しいですが」
ショートパスをつなぎながら相手のゴール前まで運んでいたのは事実だろう。ただ、鹿島の決定的なシーンもそれほど多くなかった。前後半合わせてシュートは計4本。いずれも完全に崩したような形ではない。むしろ、慌ててフィニッシュに持ち込み、自らの首を締める場面も散見した。
「勝たないといけないという思いがマイナスの方に出た。練習では最後の3分の1でも落ち着いている」と遠藤。
ザーゴ新監督の戦術は徐々に浸透し、ポゼッション率が高まっている。一方で、かつての鹿島らしさが薄れているとも映る。堅実な守備でしのぎ、粘ってゴールを奪う。内容が悪くても、勝利をもぎ取る。それこそが伝統の強さだった。
時代に合わせた変化は必要かもしれない。ただ、失ってはならないものもある。この日は、そのバランスのとり方に苦しみ、「思いがマイナスの方に出た」。
次節、鹿島はホームにJ1王者、横浜F・マリノスを迎える。『思いをプラスの方に出し』、連敗脱出はなるかーー。
取材◎杉園昌之 写真◎山口高明