11日に行なわれた川崎フロンターレ対柏レイソルのゲームで、ひと際、輝いたのが川崎Fの家長昭博だった。いや、リーグ再開後の3試合すべてで、まばゆい輝きを見せている。その存在感は好調なチームの中でも圧倒的だ。

上写真=ボールホルダーにタックルを仕掛ける家長(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月11日 J1リーグ第4節(@等々力:観衆4,724人)
川崎F 3-1 柏
得点:(川)家長昭博2、レアンドロ・ダミアン
   (柏)呉屋大翔

すべてが詰まった結晶のようなゴール

 この日の川崎Fは、柏相手に序盤から攻め込みながらも、なかなか得点できなかった。そんな試合で均衡を破ったのが家長だった。

 前半40分。右CKの場面。脇坂泰斗が蹴ったボールは、柏の江坂任に当たるもファーサイドで待っていた家長のもとへ。「当てるだけ。ラッキーだった」と本人は素っ気なく振り返ったが、ヘディングできっちりネットを揺らした。

 その2分後。追加点も、家長が記録する。相手CBの鎌田次郎にプレスをかけ、柏守備陣のビルドアップを妨げると、中盤で登里享平がボールをカット。そのボールを受けて、右足をひと振り。ゴール右隅を射抜いた。

 後方からパスを受けたが、登里から送られたボールのスピードと角度を見極めてトラップせずに、そのまま自身の左側に通した。ほんの一瞬、間をつくって相手DFのタイミングをずらすと、素早く右足を振り抜いている。「相手の股を通りましたけど、別に狙ってなかったのでラッキーだった」とは本人の弁。これまた素気ないが、瞬時の判断とアイディアと技術の結晶のようなゴールだった。

 ボールを持って、ゲームを支配する。連動した守備で相手を追い込み、素早い攻撃でゴールを奪う。フロンターレが目指しているものが、この試合ではよく表れていた。その中で家長は、ボールにアプローチし、ボールをキープし、素早い判断と技術で速い攻めを機能させてゴールも決めた。

「1週間後、また連戦が始まるので、しっかり練習してチームがもうひと段階強くなるようにしたいですね」

 再開後の3試合は、鹿島戦で2アシスト、FC東京戦はチームの3点目の起点となり、この日は2得点。そうした目に見える数字だけではなく、チームの狙いを体現するという点でも勝利に大きく貢献している。文字通り好調チームのけん引車。その存在感は、圧倒的だ。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE