上写真=試合前日の練習に臨む和泉。札幌戦でどんな活躍を見せてくれるか(写真◎鹿島アントラーズ)
「こんなもんじゃない」
常勝軍団が、勝てない。7月4日の再開マッチでは川崎フロンターレを相手に1−2の敗戦に終わり、公式戦4戦全敗。「すわ、一大事!」と思われがちだが、和泉竜司はまず、認めることから始めるという。
「(前節の川崎フロンターレ戦)で3~4割しか力を出せなかったのは、自分たちの力不足です。そこはしっかり認めて。また試合がすぐに来ますし、自分たちの力はこんなもんじゃないと思っています。次にいいサッカーをしたい」
和泉は相手の重心の逆を取るステップと一歩で抜け出す推進力、スピードに乗ったまま繰り出すテクニカルなボールタッチが鮮やかで、サイドから相手の守備陣を切り崩していく。札幌に対してもその優位は生かすつもりだ。でも、それだけではない。
「当然、相手によって狙う場所も守備のやり方も変わってきます。札幌は恐らく3バックだと思うので、スペースもできますし、そこで自分が受けることも、動いてスペースを作って味方に使ってもらうこともして、コミュニケーションを取っていきたい」
「札幌はマンツーマン気味に食いついてくるイメージです。だから、フリックしたり、自分が受けるだけではなくて全体でどこを取りたいかを共有して、スペースを空ける動きも大事になります。もちろん、サイドでの1対1、ペナルティー・エリア近くでの個の突破もそうですし、コンビネーションでも勝っていければ自ずと優位になるので、しっかりやっていきたい」
まずは受けること。そして動いてスペースを作って共有すること。1人でも突破できるし、複数人でも崩していける。練習での感触をピッチで表現できれば、その先に初勝利の光が見えてくる。
忘れてはいけないのは、その前段に大事なものがある、ということだ。
「頭をしっかり揃えて、技術の部分でこだわることが重要だと思います」
まず頭の中で理解し、そこから生まれたアイディアをチーム全員で共有した上で、技術の力で実行する。それがあるからこその「受ける。動く」だ。ザーゴ監督が「シーズン当初よりも選手たちの理解と実行については満足している」と表現した実感と、まさに一致する。
苦しいときこそ、和泉の持つ技術が真価を発揮するはずだ。勝利のために、いまこそ自慢の突破力を存分に見せつけるだろう。