7月4日、明治安田生命J1リーグの再開戦となった柏レイソル戦に臨んだのがFC東京。若きセンターバックはこのアウェーのスタジアムとの相性がいいようで、昨年のプロデビュー戦に続いて重要な一戦でゴールを決めて、1−0の勝利に導いた。

上写真=先制ゴールを決めて叫ぶ渡辺剛。攻守に大活躍だ(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月4日 J1リーグ第2節(@三共F柏)
柏 0-1 FC東京
得点:(東)渡辺剛

「やりがいを感じます」

 三協フロンテア柏スタジアムの「柏熱地帯」の側のゴールには、特別な相性があるのかもしれない。J1リーグ再開戦となった第2節の柏レイソル戦、62分にこのゴールに決勝点を叩き込んだのは、センターバックの渡辺剛だった。

 渡辺のトップデビューは昨年3月6日のJリーグYBCルヴァンカップ第1節、このスタジアムでの柏戦だった。30分に、今回と同じく右CKからニアに入り込んで得意のヘッドで流し込むプロ初ゴール! しかし後半、柏の強力FWオルンガに2点を決められて逆転負けを喫したのだ。決めたのに決められて、勝ち点ゼロだった。

 それが今回は、自らが決めてオルンガを抑え込んで勝ち点3だ。試合後のコメントも思わず弾む。

「去年、ここでデビューしてゴールも決めましたが、オルンガ選手に決められて負けました。借りを返す、ではないですけれど、そういう結果になりましたし、オルンガ選手に取られなかったことが自信になりました。少しずつだけど、成長できているのかなと思いました」

 遠慮がちに少しだけ自分を褒めたが、そのゴールシーンでは、先輩でありセンターバックのパートナーである森重真人を称えた。

「小川選手のコーナーキックが(左足で蹴ったので)インカーブで来てファーに流れたので、自分の頭を越えた瞬間に折り返しが来ると思って準備しました。森重選手が打点の高いヘッドで折り返してくれたので、触るだけでした」

 森重が頭一つ高く飛んで力強く中央に折り返すと、GKが目測を誤って飛び出していたので渡辺と田川亨介が完全にフリー。先に右足を伸ばしてアウトサイドに当てて確実にゴールに押し込んだ決勝点だ。今季の目標は、あと4点なのだという。

「ゼロで抑えて自分のゴールで勝つのは、センターバックとして気持ちいいですよね。やりがいを感じます。これをもっともっと増やしていきたい」

 本職の守備でも安定感は高まるばかり。相手の1トップのオルンガを森重とうまく受け渡しながら警戒し、得意の空中戦はもちろん、地上戦でもクールに渡り合った。自分のエリアでは瀬川祐輔が2列めからスピードに乗って突進してきたり、江坂任が中央から流れてきて厄介だったが、右サイドバックの室屋成を使いながら的確にカバーして守り抜いた。

 次の「気持ちいい!」は、いつだろう。早ければわずか4日後の7月8日の水曜日、川崎フロンターレとの「多摩川クラシコ」でやってくるかもしれない。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE