この連載では再開後のJリーグで注目すべきチームやポイントなど、見所を紹介していく。連載第4回目はJ1のセレッソ大阪を取り上げる。他チームにはないその特徴は、今季のJ1を戦う上でアドバンテージになるだろう。

ポゼッション型にめっぽう強い

タイトル奪取は決め手次第。ブルーノ・メンデスの働きがカギを握る(写真◎Getty Images)

 また、ポゼッション型の強豪にめっぽう強い。昨季はJ1王者の横浜F・マリノスや川崎フロンターレ、大分トリニータをカモにしている。今季の開幕戦も大分相手に1-0の完封勝ち。いかにもセレッソらしい勝ち方だった。

 今季のJ1では新たにポゼッション型へモデルチェンジを試みたクラブがいくつもある。セレッソから見れば、飛んで火にいる夏の虫か。燃費がいい戦法に相性の良さまで加算されれば、初戴冠への期待がふくらむというものだ。

 ただ、死角もある。

 得点力だ。昨季の総得点は39で、下から7番目に少ない。何しろ、2ケタ得点を記録した選手が1人もいなかった。無得点が11試合あったのも、肝心の決め手に課題を抱えていたからだ。タイトルに手が届くかどうかは、この点にかかっていると言ってもいい。

 カギは主砲ブルーノ・メンデスの稼働具合か。年間を通じてフルに働ければ、2ケタの得点を稼ぐことなど造作もないだろう。横から入ってくるボールに強く、松田陸や丸橋祐介らサイドバックが放つクロスとの相性もいい。ワンタッチでやすやすと仕留める本領を発揮できるか。

 その点、過酷な連戦がネックになる。総力戦という意味では相方の奥埜博亮はもちろん、業師の柿谷曜一朗、空中戦に強い都倉賢、遊撃手の豊川雄太ら前線部隊の立ち回りが大きなポイントか。さらには右の翼を担う坂元達裕もチームの新たな決め手となりうるキーパーソンだろう。

 開幕戦での虎の子の1点が物語るとおり、清武弘嗣発のセットプレーは強みの一つ。CKの場面では長身のマテイ・ヨニッチら守備陣も重要キャストになる。ロースコアの僅差勝負が基本線になるとしても、逆転勝ちがわずか1試合しかなかった昨季の轍を踏むわけにはいくまい。

 ともあれ、玉座への視界が開けるかどうかは決め手次第。異色の<堅守遅攻、ときどき速攻>を強みにして、シーズン終わりに季節はずれの桜を咲かせるか――まだ、気の早い話だが。