7月4日のJ1再開が迫ってきた。6月最後の日に柏レイソルのネルシーニョ監督がオンライン会見を実施。長く険しいシーズンの道のりを見据えて、充実の時間を過ごしたと胸を張った。

中断期間の「検証」

 7月4日の再開マッチ、FC東京戦を前にした1週間は「ゲームに特化してきました。FC東京はクオリティーの高いチーム。どういう風に戦うか、より戦術的な部分にフォーカスしました」と勝負師の顔だ。

 珍しく、他クラブとの練習試合を組まないまま再開を迎えることになったが、これはコロナ対策の一環とのこと。そしてむしろ、そのことで充実の時間を確保できたのだと効果を明かしている。

「チームとして非常にいい準備ができています。すべての意味でポジティブです。全員がチームのためにという意識でトレーニングに励んでいるし、サッカー選手ですから公式戦がまた始まるということでモチベーションも高まってきています」

「他のチームと練習試合をしていないことについては、心配していません。時間を有効活用できたと思っています。われわれの当初からの目標は変わりません。勝者になるためには勝利が必要です。これまでからの積み上げができて、新加入選手や若くてクオリティーある選手が揃っているので、この中断期間を有効に使って検証できました。トレーニングでどの選手もAチームでプレーする機会があって、選手同士の組み合わせやフォーメーションを確認し、誰がどのポジションでどんなことができるかを把握できました」

いかに戦略的に交代枠を使えるか

 注意する点については、この会見の中では少なくとも3つを挙げている。試合勘、交代策、無観客だ。

「しばらく公式戦から離れていたのでゲーム勘というかテンポのところは若干の懸念が残りますが、選手が献身的でいい準備ができています」

「週末に行われた中から3試合を見ましたが、気づいたのは監督の交代策に関してです。本来は戦術的な要因が強く影響するものですが、選手のコンディションが完全ではなく、どの監督もやはり戦術的な部分というよりは少しでも早く選手がゲームに馴染んでいけるようにという配慮、意図が(交代策には)あったのではないかと感じています。我々も戦略的に交代枠を使えるか、そして選手たちを段階的にコンディショニングしていく上でも、非常に重要な鍵になってくると思います」

「無観客での試合は、変な感じはしますよね。ブラジルでリーグから制裁を課されて3試合無観客で試合をしたことがありますが、そのときもやっぱりやりづらかった記憶があります。ただ今回は、状況がまったく違います。これまでも、ピッチで何を達成しなければいけないかを伝えてきましたが、この状況だからこそ余計にやるべきことは明確になりました。それがある限り、選手のモチベーションに悪影響を及ぼすことはありません」

 そして、柏レイソルが、サッカーそのものが、この危機を乗り越える糧になるようにと祈る。

「皆さんがそれぞれの場所でいい1年になることを祈っています。そして、サッカーの持つ力でもう一度、笑顔を届けられる1年になりますように」

 未曾有の事態だからこそ、稀代のモチベーターがその腕を発揮して、選手を奮い立たせるはずだ。そして今回に限っては、柏レイソルの選手やファン・サポーターのためだけではなく、サッカーに関わるすべての人のために役に立つだろう。