J1の川崎フロンターレが6月24日に取材対応を行ない、登里享平がオンラインで報道陣の質問に答えた。自身に求められている新しい役割への手応えや、再開初戦の鹿島アントラーズ戦への思いを語っている。

笑顔でオンライン取材に応じた登里(写真◎スクリーンショット)

「練習試合でもゴールを取れている」

 香川西高(香川)から2009年に川崎Fに加入した登里は、今季で川崎F一筋の在籍12シーズン目を迎える。開幕直後に長い中断期間があり、コンディション調整が難しそうだが、体力を持て余して前のめり気味の若手を横目に、マイペースで徐々にギアを上げているのだという。

 実力者が集う川崎Fでは、増えたと思った出場機会が、翌年も約束されるものではない。登里もそうした浮き沈みは経験したが、昨季のリーグ戦27試合出場は、自身のキャリアで2番目の多さだった。また、ポジション争いの続く昨季のチームで、フィールドプレーヤーとしてチーム4番目の長さとなる2116分間、ピッチに立っている。
 
 今季、シーズン終盤の11月に30歳の誕生日を迎える。ベテランと見られる時期に入ろうとしているが、『老け込む』様子はない。新たに4-3-3に取り組む今季の川崎Fで、サイドバックに求められるものも変化していると、新しい挑戦に目を輝かせる。

「攻守において、よりアグレッシブにサッカーをする。守備では、よりアグレッシブに前の選手がアプローチをかけたところに、スライドでついていかなければいけないし、ラインの上げ下げもすごく意識しています。攻撃は昨年と違って、より多くかかわり、ゴール前に顔を出す回数もすごく多くて、練習試合でもゴールを取れたりしています。今年はそういうところも、より求められているので、しっかりやっていきたい」

 次々と加入してくる若いタレントの中には、川崎Fが『シルバーコレクター』と言われた過去を信じられない選手も多いかもしれない。かつては、なかなか勝てないチームもあり、その一つが、『K点越え』と銘打って打破への気持ちを高めていた、鹿島アントラーズだった。

 その鹿島が、シーズンリスタートの初戦の相手となる。悔しい過去も知る登里は語る。

「本当に素晴らしい相手だし、何度も優勝を阻まれていた相手。再開初戦ということで、そこでしっかり勝つことができれば、チームとしても自信になる。チームに勢いが出るので、いいスタートを切りたいと思います」

 大阪生まれのサイドバックは最後まで笑顔を絶やさないながらも、リスタートの日を見据えて力強く言った。

取材◎杉山孝