J1の川崎フロンターレは6月24日、練習後に選手の取材対応を行なった。三笘薫は現状への危機感があると明かしつつ、ルーキーイヤーである今季、そして未来へと懸ける思いを語った。

上写真=オンラインでの取材に応じた三笘(写真◎スクリーンショット)

「結果にフォーカスして」

 筑波大学から加入したルーキー三笘は、J1第1節でリーグ戦初出場を果たした。だがルーキーながら『早くも』より、『ついに』と言ったほうがいいかもしれない。アカデミー出身のアタッカーは、大学2年時の2017年から川崎Fの特別指定選手となっており、2018年にはルヴァンカップで公式戦のピッチにも立っている。

 ユニバーシアード代表のほか、U-20から年代別日本代表にも名を連ねてきた実力者。本来なら7月23日には東京オリンピックの男子サッカー競技初戦が行なわれ、翌24日には、新国立競技場で開会式が華々しく開かれるはずだった。新型コロナウイルスの影響で五輪は延期となったが、三笘は「大卒なので、よりチャンスが広がったと感じていますし、これからJリーグで結果を出せば、自ずと代表に選ばれていく可能性は高くなると思う。自分としてはチャンスととらえています」と冷静だ。

 視線を向けるのは川崎Fでのプレーだ。『ついに』リーグ戦で初出場したが、「今後、ほかの選手にもチャンスが与えられるという意味ですし、より下の年代からの競走(の度合い)が高くなってくると思うので、負けないように一日一日成長していければ、と思っています」と口元を引き締める。
 
 実際、デビューを果たしたサガン鳥栖戦では、同じ大卒ルーキーとして加入した旗手怜央も65分に同時投入され、ピッチに立っている。ともにドリブルを得意としており、旗手も爆発的な推進力を披露していた。
 
 好手がそろうワイドのポジションで、「左サイドだけじゃなくて、右サイドでもやっていかないとスタメン争いには勝てないと思う」と三笘。新人として、追う立場であるだけではなく、ポジション争いで突き上げられるかのような面もある。

 ほかのポジションでも、川崎Fに迎えられる若手は実力が高い。三笘は「(宮代)大聖や怜央も結果を出してきて、いい意味で焦ってきているところもある。自分ももっと結果を出さないとスタメンになれないと感じています」と危機感を強める。

 五輪は延期されたが、リーグ戦再開は着実に近づいている。先も見据えつつ、足元を見失うこともない。

「スタメンで出場し続けることが一番のアピールになると思う。開幕戦とルヴァンカップで少し出ましたが、結果を出せなかったので、より少ない時間でもゴールやアシストにこだわりたい。それが代表につながると思っているので、結果にフォーカスしてやっていきたい」

 小学校時代から親しんだクラブでの未来を、初々しく語った。

取材◎杉山孝