7月4日の再開初戦でホームにサンフレッチェ広島を迎えることになったヴィッセル神戸。そこから続く連戦に向けて準備を進めているが、6月17日の練習後に渡部博文がオンライン取材に登場。守備が好転している実感を明かした。

上写真=コンディションは順調に上がってきているという(写真◎ヴィッセル神戸)

はまってきているんです

 来たるべき再開、そしてシビアな連戦に向けて、ヴィッセル神戸でもコンディションアップと戦術的なすり合わせが急ピッチだ。「試合数が多いということは、出場のチャンスが増えるということ」と目を輝かせるベテランDF、渡部博文にとっても再開は待ち遠しい。

 守備の一角という重責を担う立場としては、まずはディフェンス面での選手同士の距離感や決まりごとを再開までに細かくすり合わせておきたいところだ。ボールと味方と敵とパスコースを見渡す感覚は、いわゆる「ロンド」ですぐに戻ってきたそう。「戦術的な部分では、4対2のボール回しをよくやるのですが、それですぐに(感覚は)戻ってきました」と涼しい顔だ。

 とはいえ、昨季59失点はJ1で下から数えて3番目。イニエスタをはじめとした派手な攻撃陣に目が移りがちなチームにとっては仕方のないこととはいえ、変化の兆しも感じ取っている。

「昨年の失点数は、少し多かったのは事実ですが、監督が去年から言っていたのは3点4点取られたとしても、4点5点取ればいいという考え方でした。点を取られることはしょうがない、より攻撃的なサッカーするんだ、というところに重点を置いていたんです」

「でも、今年は守備のクオリティーもすごく求められていて、いま紅白戦やミニゲームをやっていても、0−0とか1−1のゲームが続いていて拮抗しているし、点が入らない日も続いていたりするんですね。そういう意味でチームとして守備もしっかりできているのが体感としてあるので、継続していけば、自然に自分たちの守備の能力、感覚は上がっていくと思います」

 厳しい連戦を戦う上で守備のベースは特に重要になってくるだけに、頼もしい感触だろう。好転のきっかけはどんなことだったのだろうか。

「守備は正直、一人でできるものではありません。11人が全体で動かないと守れない。その点で、“いまボールを奪いに行くべきかどうか”の判断ができてきたと思います。それはすごく重要なことで、前線の選手が勝手に守備にスタートしに行くと後ろとしては難しくなるので、行っていいのかどうかのところをいま探りながらやっていますけど、はまってきているんですね。守備の感覚が研ぎ澄まされていい感じになってきました」

大事な「会話」が生まれている

 守備が整い始めたということは、それをきっかけに攻撃にも好影響を与えるはずだ。渡部はその点についても、丁寧に解説する。攻撃のどの部分に最も刺激を与えているだろうか。

「一番はカウンターの速さというところですかね。去年からもあったんですけど、いい守備ができたときはカウンターの速さが生きて、古橋(亨梧)が決める、ビジャが決めるという場面が何回も見られました。そういうシーンが増えてきたかなという感覚があります」

 もう一つ、さらに重要な変化も感じ取っている。会話、だ。

「カウンターになったときに、自分たちのチャンスなんだけど相手の戻りが速いとき、そこで突っ込んだパスを出しすぎると結局もったいない形でボールロストしてしまいます。でも、そういうことが減ってきて、いまはボールを回す時間だね、とか、無理しないでボールを動かそう、という会話がピッチの中で生まれてきているんです。そういう一言ってすごく大事で、いい意味で“空気を読む”というか、研ぎ澄まされてきているという感じがしています」

 守備のクオリティーが高まり、攻撃に好影響を及ぼし、カウンターの切れ味が鋭さを増し、そして「会話」が生まれている。これが、ヴィッセル神戸進化形。次のレベルへ進もうとするチームは、あと2週間と少しでその姿を現そうとしている。

終始、落ち着いた表情で現状を口にした。ペットの話題では笑みもこぼれた(写真◎スクリーンショット)