6月15日の練習後にオンライン取材に臨んだヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督。7月4日のリーグ再開に向けたトレーニングは順調のようで、再開後に想定される過密日程を乗り切るための、名将に学んだ「秘策」を明かした。

上写真=フィンク監督は選手のコンディションは順調と明かした(写真◎スクリーンショット)

昨シーズンの終わりのような形に

 6月1日に全体練習が再開されてから2週間。15日からの週では、強度を高めつつ時間を短くする方法で、さらに練習を重ねていく予定だという。その目的は「実際の試合に近いものにしたい」というもの。週末には45分×3本の予定で練習試合を組んでおり、そこへ向けた調整に気を配っていくことになる。

 練習試合ではこれまで積み上げてきたもののおさらいになりそう。フィンク監督は「新しいものをテストするわけではなく、大事なのは選手たちが一つの形でしっかり機能するかどうかです。ブランクが長いので、昨シーズンの終わりのような形に自然に入っていくようにテストマッチではもっていきたいと思います」とイメージはできている。

 選手たちの状況は「練習はうまく進んでいると思います。全体的に良い状態にあると思っています」と好感触を隠さない。この日は夕方に再開後のリーグ戦やルヴァンカップの日程が発表されることになっているが、「ものすごく楽しみでワクワクを感じている」とはやる気持ちを明かしている。

 気にしているのは無観客での試合が何試合か続きそうなこと。「選手にもその状況でプレーすることを理解してもらいたいと思っています。その環境でもうまく結果を出せるということを選手にも知ってほしいですし、そのためにしっかり準備するだけです」と冷静だ。

 無観客も前例のない状況だが、さらに選手を悩ませそうなのは過密日程だ。梅雨が明ければ一気に夏。高温多湿の過密日程は考えるだけでもその体力を削りそうだ。その難しい状況を突破するために、フィンク監督はある恩人の姿を頭に描いている。

バイエルン・ミュンヘンでの経験を生かす

 その人の名は、オットマール・ヒッツフェルト。ドイツの名門、バイエルン・ミュンヘンを率いて、UEFAチャンピオンズリーグを2度、制するなど、数々の栄光に彩られた、歴史に残る名将だ。フィンク監督は現役時代にバイエルンで薫陶を受けている。

「過密日程に対して一番大事なのは、私が若手も信じてあげることです。信頼して、それを彼らがプレーで返してくれることをまた信用することです」

「長いシーズンで、最初の試合の先発メンバーが試合に出続けるというのは現実的ではありません。クラブとしてもケガ人が出ることは避けなければなりません。ですから選手のローテーションが大事になってきます。もちろん、若い選手はベテランほど理解度は高くないかもしれませんが、元気さと100%の力で挑んでいける姿勢を持っています。ですから、経験する場所を与えたいと思います。今年のチームはできるだけ多くのタイトルを獲りたいと思っていますし、選手を入れかえてどの大会でも上位に入っていきたいと思っています」

「現役時代、私がバイエルン・ミュンヘンに所属していたころも本当に多くの試合がありましたが、当時の監督は本当にうまくやってくれていました。オットマール・ヒッツフェルト監督です。コミュニケーションを取るのがとてもうまい人で、一人一人とちゃんと話してくれて、状況を説明してくれました。それを神戸でも取り入れたいと考えています」

「もちろん、イニエスタやフェルマーレンといった選手が試合に出なければクオリティーは落ちるかもしれません。でも、ゴルフで『使わないクラブではうまくなれない』という言葉があるように、選手にはチャンス与えないとうまくならないと思います」

 クラブの総力を高めるためには、まず説明し、信用することが大事。どのクラブでも監督の手腕がますます問われるシーズンになりそうだが、フィンク監督は偉大なるヒッツフェルトが授けてくれたマネジメント術で、神戸をさらに高みに引き上げるつもりだ。