1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第30回は、横浜F・マリノスの得点源、マルコス・ジュニオールの登場だ。

上写真=得点後のゴールパフォーマンスでも魅せたマルコス・ジュニオール(中央)。チームメイトと『気円斬』(写真◎J.LEAGUE)

初得点の後に『かめはめ波』

 2018年の横浜F・マリノスは就任1年目のアンジェ・ポステコグルー監督の下、高い得点力を誇った一方で、失点の多さからJ1残留争いを強いられた(最終成績は12位)。ポステコグルー監督が続投し、継続姿勢を打ち出した状況で、19年の新しい得点源としてフルミネンセ(ブラジル)から加入したのが、FWマルコス・ジュニオールだった。

 開幕前に話題を集めたのは、ブラジルで披露していたゴールパフォーマンスだった。日本の漫画『ドラゴンボール』が好きで、スキンヘッドの風貌から、ニックネームも登場人物の『クリリン』。得点後に『かめはめ波』ポーズを見せることから、お披露目がいつになるのか注目された。

 待望のJ初得点は第3節。川崎フロンターレとのホームゲームで前半にゴールを決めると、FW仲川輝人、FWエジガル・ジュニオとともに『かめはめ波』を披露した。第6節では2得点、第7節では1得点。やがて得点後のパフォーマンスにはクリリンの必殺技『気円斬』も加わり、披露するたびにマルコス・ジュニオールへの注目度も高まった。

同一チームから2人の得点王

同一チームから2人の得点王

 鋭いドリブル突破、左右両足から繰り出すフィニッシュなど多彩なプレーで相手の脅威となったマルコス・ジュニオールは、第15節で退場処分に。次節は出場停止となったものの、復帰後は再び先発となり、コンスタントに得点を重ねた。

 ただ、チームの成績は一進一退だった。第18節から3連勝を飾ったかと思えば、第21節からは逆に3連敗。第23節終了時点で5位、首位のFC東京都の勝ち点差は9で、優勝争いからは一歩後退したかと思われた。

 しかし第24節、マルコス・ジュニオールの2得点などで名古屋グランパスにアウェーで5-1と大勝すると、この試合から再び3連勝。第27節の引き分けを挟み、第28節からは怒とうの連勝がスタートする。マルコス・ジュニオールも第29節、第31節で得点を挙げ、通算15得点に。チームは第33節まで6連勝を飾り、優勝に王手をかけた。

 最終節はホームの日産スタジアムに、2位のFC東京を迎えての直接対決だった。横浜FMは4点差以上で負けなければ優勝という優位な状況で持ち味の攻撃力を爆発させ、3-0で快勝。マルコス・ジュニオールは33試合出場・15得点で、同じく33試合出場・15得点のチームメイト、仲川とともに得点王に輝いた。

 1シーズンに2人の得点王が誕生するのは06年、10年に続いて3回目だが、同一チームの2人が受賞するのは史上初めて。リーグ最多の68得点を記録した破格の攻撃力のチームにおいて、得点だけでなく、その後のパフォーマンスでも魅了したマルコス・ジュニオールの果たした役割は大きかった。

●2019年の得点ランキング(全34試合)
1位 マルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス) 15得点
   仲川輝人(横浜F・マリノス) 15得点
3位 ディエゴ・オリヴェイラ(FC東京) 14得点
   ドウグラス(清水エスパルス) 14得点
5位 鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌) 13得点
   小林悠(川崎フロンターレ) 13得点
   ダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸) 13得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

得点後はパフォーマンスだけでなく、気合十分の表情も(写真◎J.LEAGUE)

鋭い突破で相手ゴール前を切り裂く(写真◎J.LEAGUE)

チャンスでは落ち着いたシュートでゴールを脅かした(写真◎J.LEAGUE)

横浜FMは最終節でFC東京をホームで下し、15年ぶりのJ1優勝(写真◎J.LEAGUE)

仲川はJリーグアウォーズを欠席し、1人で得点王のトロフィーを受け取った(写真◎J.LEAGUE)