FC東京のDF渡辺剛が練習後、オンラインで取材に応じた。全体練習再開から約1週間が経ち、チームの雰囲気が上々。まだベストではないものの、自身もチームもコンディションが上がってきていると話した。

上写真=チームコンディションの向上を感じたと渡辺は話した(写真◎FC東京)

再開は東京オリンピックへ続く

 全体練習が再開し、およそ1週間。日に焼けた顔が、再開への着実な歩みを示す。FC東京の守備を支えるCB、渡辺剛は言った。

「きょうの練習は戦術についても触れました。自粛期間は試合ができていないかったので、試合勘を取り戻したりとか、戦術を確認しました。そういう練習で選手の意思の疎通ができたり、コミュニケーションが深まっていけばと思っています」

 1997年2月生まれの23歳。J1が再開する7月4日は、本来なら東京オリンピックの開催直前の時期だった。その舞台に上がるために、渡辺は準備してきた。「東京の選手が、東京オリンピックに出ないと」。尊敬する先輩であり、チームメイトの森重真人、東慶悟らかつてのオリンピアンたちからも発破をかけられている。

 だが、歴史上でも類を見ない形で、スポーツの祭典は延期となった。2020年の目標に定めた祭典が。その胸中とはーー。

「オリンピックに向けてしっかり準備してきていましたし、気持ちの中でも目標としてあったので、それが1年延びて、自分としてはちょっとやりにくいな、という部分はありました。でも、このまま再開して、しっかり準備できれば、(来年の大会で)良いパフォーマンスできると思う。まず、チーム(=FC東京)で試合に出ることが大事だと思うので、試合に出て活躍してオリンピック(のメンバー)には絶対入りたいという気持ちでいます」

 すでに、気持ちは切り替えた。目の前の試合で全力で臨み、チームの勝利に貢献し続けた先に、オリンピックの舞台が待つ。

「(この状況の中で)自分の力で這い上がってこれなかったら、オリンピックとか日本代表は背負えないと思っているので。自分で結果を出して選ばれたい」

 リーグ再開→活躍→J1初優勝→そして東京オリンピック。ロードマップは設定済みだ。

 かつてのインタビューで言っていた。「自分がいるときにJ1初優勝できたら、最高ですよね」。そして「東京で開かれるオリンピックに東京の選手として出たい」。本大会は、1年延びた。ただ、悪いことばかりでもないのかもしれない。昨季あと一歩で届かなかった目標を達成すればーー。渡辺は、J1王者の看板CBという箔をつけて、大会に臨むことができる。