2018年から2年間はジェフ千葉に期限付き移籍し、今季3年ぶりに古巣に復帰したサンフレッチェ広島MF茶島雄介。千葉で新境地を開いたサイドでのプレーを磨き、再開後の公式戦で出場機会をつかむべく燃えている。

上写真=サイドでチャンスを得るために奮闘中の茶島(写真◎石倉利英)

「しっかりアピールしたい」

 6月3日のサンフレッチェ広島の練習は、フルコートでの実戦形式のメニューに多くの時間を割いた。フィールドプレーヤーを9人ずつ3チームに分け、1本を10分から8分のサイクルで各チームが4本ずつ消化。各選手が通常の1試合、90分間の半分程度の時間をプレーしている。

 赤ビブスチームの右サイドに入ったMF茶島雄介は、攻撃から守備への素早い切り替えに加え、周囲とのパス交換からスペースに抜け出すなど、攻撃面でも見せ場を作った。機を見てゴール前にも顔を出し、左サイドを突破したMFエゼキエウのセンタリングを蹴り込んで1得点も記録している。

 18年から指揮を執る城福浩監督の下でプレーするのは初めてになるが、「開幕前のキャンプから続けてきて、チームのやり方、チームの中でどうやって自分の持ち味を出していくかは、かなりつかめてきた」と語る。得点は、「それをやり続けて、最終的にゴールに絡む仕事ができるかどうかを意識していきたい」というコメントどおりの結果だった。

 小学1年生のときに広島のサッカースクールでサッカーを始めて以降、ジュニア、ジュニアユース、ユースの全アカデミーでプレー。東京学芸大を経て14年に広島に『里帰り加入』してからは、シャドーやボランチなど、主に中盤の中央でプレーしてきたが、千葉では主にサイドでプレーした。

 18年から19年途中まで千葉の指揮を執ったエスナイデル監督は、「『いい意味で周りを気にせず、思い切り自分を出していけ』」と言い続けてくれた」。それによって「周りに合わせるだけじゃなくて、もっと自分を出していくことも意識しながら試合ができた」と振り返る。最初の広島在籍時にサイドでプレーしたときは、自分はサイドの選手ではないというネガティブな思いがあったというが、「サイドでプレーするやりがいを感じたのが大きかった」と語る新境地を開いた。
 
「周りと絡んでパスをつなぎながら、右サイドを突破してクロス、シュートにもっていくのが自分の良さで、同じポジションの他の選手との違いを見せなければいけないところ」と自覚している。7月4日のJ1リーグ再開まで1カ月となり、「ここからの1カ月は実戦に向けてコンディションを上げて、試合に出るための大事な時間。しっかりアピールしたい」と言葉に力を込めた。

 2月に消化した公式戦2試合はベンチ外で、その2試合ではMFハイネルが右サイドで先発していた。期限付き移籍先で得た手応えと、自身の持ち味を臆せず発揮して出場機会を狙う。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英