1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第19回は、名古屋グランパスをJ初制覇に導いたケネディを紹介する。

史上2回目、2人の得点王

 2010年、ストイコビッチ監督が就任3年目を迎えた名古屋で、ケネディは本領を発揮し始めた。3トップの中央に入り、開幕戦でチームを勝利に導く決勝ゴールを挙げると、しり上がりに調子を上げる。

 第9節からは南アフリカ・ワールドカップによる中断を挟み、5試合連続の計6得点。オーストラリア代表として出場したワールドカップ後に髪を短く切って戻ってきたため、『ジーザス』とは異なる風貌となったが、名古屋の得点源であることに変わりはなかった。

 名古屋は第17節で首位に立つと、混戦の中で着実に勝ち点を伸ばしていく。ケネディは得点から遠ざかった時期があったものの、第24節からは3試合連続ゴールと再び調子を上げた。その後も勢いが衰えなかった名古屋は第31節で湘南ベルマーレを下し、3試合を残して悲願のJリーグ初制覇を果たす。

 ケネディは最終節で1得点を挙げて有終の美を飾り、31試合出場・17得点。同じく最終節で1得点を挙げ、33試合出場・17得点とした前田遼一と並んで得点王に輝いた。得点王が2人となるのは06年に続いて史上2回目。自身プロでは初めてのリーグ優勝で、当時週刊サッカーマガジンのインタビューに「もちろん素晴らしいことだし、感動しているけど、初めて経験することだから、何だか不思議な気分でもあるんだ」と笑顔で答えていた。

●2010年の得点ランキング(全34試合)
1位 ケネディ(名古屋グランパス) 17得点
   前田遼一(ジュビロ磐田) 17得点
3位 エジミウソン(浦和レッズ) 16得点
   マルシオ・リシャルデス(アルビレックス新潟) 16得点
5位 ジュニーニョ(川崎フロンターレ) 14得点
   平井将生(ガンバ大阪) 14得点
   アドリアーノ(セレッソ大阪) 14得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

名古屋の前線の核となって幅広い活躍を見せた(写真◎J.LEAGUE)

懐の深いボールキープも武器、相手のプレッシャーを受けても安定していた(写真◎J.LEAGUE)

アウェーで初優勝を決め、チームメイトとともに笑顔(写真◎J.LEAGUE)

同じ17得点で得点王に輝いた前田とともに(写真◎J.LEAGUE)