1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第4回は、言わずと知れたスーパースター、カズ=三浦知良の登場だ。

シーズン終盤に荒稼ぎ

 だがカズは、そんな中でもコンスタントに得点を重ね、終盤に入るとさらに調子を上げた。第27節と第28節で1得点ずつを記録し、第29節ではハットトリック。ホームの等々力陸上競技場で行なわれた最終節の相手は、前節までの結果で初優勝を確実にしていた鹿島アントラーズで、カズは2得点を挙げて5-0の大勝に貢献した。

 試合後、鹿島が優勝の喜びに沸いたのに対し、V川崎の最終成績は7位。前年まで3年連続でチャンピオンシップに出場し、リーグタイトルを争ってきた歴史を思えば寂しい結果に終わったが、最終節はJリーグ初代王者の意地を見せた格好になった。最後の4試合で7得点を荒稼ぎしたカズは、27試合に出場して23得点を挙げ、初の得点王に輝いた。

 いまや「キング」の愛称が定着しているカズ。昨年末のイベントで本人が、93年のアメリカ・ワールドカップ最終予選の北朝鮮戦で2得点した際、中東の新聞の記者が翌日の紙面で『キング・カズ』と見出しにしたことが、その由来だと明かしている。

 当時29歳だったカズが、正真正銘の「ゴールキング」に輝いたシーズン。26年後の今季、53歳になった現在もキングは現役だ。

●1996年の得点ランキング(全30試合)
1位 カズ〈三浦知良〉(ヴェルディ川崎) 23得点
2位 エジウソン(柏レイソル) 21得点
3位 エバイール(横浜フリューゲルス) 20得点
4位 スキラッチ(ジュビロ磐田) 15得点
5位 マグロン(ヴェルディ川崎) 13得点
    ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

成績不振と監督交代に揺れたV川崎。カズの得点力がチームのカギだった(写真◎J.LEAGUE)

イタリアでの経験を経て、ゴール前での動きに磨きをかけていた(写真◎J.LEAGUE)

第24節の横浜マリノス戦、MFビルマルクのパスから相手DFを振り切ってゴール(写真◎J.LEAGUE)

Jリーグアウォーズでトロフィーを受け取る。初年度のMVP以来となる個人タイトルだった(写真◎J.LEAGUE)