1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第4回は、言わずと知れたスーパースター、カズ=三浦知良の登場だ。

上写真=リーグのタイトル争いに絡めなかったV川崎にあって、カズは終盤のゴールラッシュで初の得点王に(写真◎J.LEAGUE)

チームが不調でもコンスタントに得点

 前回の連載に掲載されている1995年の得点ランキングで、カズ=三浦知良は23得点で5位となっている。32得点で得点王に輝いた福田正博とは9点差だが、カズはこの年、シーズンの半分しかプレーしていない。

 94年夏にヴェルディ川崎からイタリアのジェノアに移籍し、1シーズンのプレーで退団して95年夏にV川崎に復帰。ニコスシリーズ(2ndステージ)の26試合だけでゴールを重ね、得点ランキング上位に食い込んでいる。イタリアでの経験を経て得点パターンが増え、ストライカーとして進化した姿を見せつけていた。

 96年もカズは開幕から絶好調だった。第7節までの7試合で、1試合を除く6試合で得点を決めている。だがチームの調子は下り坂となり、第8節からは3連敗、第10節までに5敗を喫した。

 Jリーグはこの年、それまでの2ステージ制ではなく、史上初の通年リーグ戦で争われていた。16チームの2回戦総当たり、全30試合の戦いで出遅れたことで、V川崎は優勝争いから遠ざかっていく。ネルシーニョ監督が辞任し、岸野靖之代行を挟んでレオン新監督が就任したものの、早い段階でリーグ優勝の可能性はなくなった。