©関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子
あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。J戦士は大学時代にどんな選手だったのか。第2回は、明治大からFC東京に加入し、現在は名古屋グランパスでプレーするDF丸山祐市だ。
運命を変えた就職試験
しかし、結果は予想しなかった不採用。大学4年の5月だった。
「落ちたときは頭が真っ白になり、何も考えられなかった。でも、人生は一度しかない。サッカーでチャレンジしようと思います」
梅雨も明けないうちから、すぐに人気銘柄の争奪戦が繰り広げられた。夏前に6クラブが名乗りを挙げるなど、競争は過熱。最終的に本人はFC東京を選択し、2011年9月に加入内定が発表された。獲得競争に敗れたクラブ関係者の言葉が忘れられない。恨み節ひとつなかった。
「才能を持ったディフェンダーなので、プロの世界に入って良かったですね。J1で磨かれれば、まだまだ伸びると思います。将来が楽しみ」
多くの期待を集めた丸山はプロ入り直後こそ苦しんだものの、3年目で湘南ベルマーレにレンタル移籍してブレイクした。2015年にFC東京に復帰し、2016年にはA代表デビュー。30歳になったいまも、J1トップクラスのセンターバックとして活躍中だ。2018年途中に名古屋グランパスに完全移籍してからはチームの主軸となり、2019年以降は主将を務めている。
運命を変えた就職試験があったからこそ、丸山の今があるのかもしれない。きっかけ一つで、人生は大きく変わる。現在、就職活動に励む大学生たちも知っておいてもらいたい。第1希望の内定を逃しても、天職を見つけられる人はいる。
まるやま・ゆういち◎1989年6月16日生まれ。東京都出身。FC東京U-15、国学院久我山高を経て、明治大に入学。大学卒業後、2012年にFC東京に入団した。14年はレンタル移籍で湘南でプレーし、15年にFC東京に復帰。16年には日本代表デビューを果たした。18年7月に名古屋へ完全移籍。182cm/75kg