1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第3回は、日本人初の得点王に輝いた福田正博を取り上げる。

ホームでの最終節で逆転

 だが、ニコスシリーズに入るとペースが落ちたスキラッチに対し、福田はコンスタントに得点を重ねた。スキラッチも31得点まで伸ばしたものの、第20節を最後に負傷離脱。その時点で27得点だった福田は、第25節で31得点目を決め、残り1試合でスキラッチに並んだ。

 ホームの駒場スタジアムで行なわれた最終節。横浜フリューゲルスと対戦した浦和は、0-0で迎えた75分に岡野が倒されてPKを獲得する。キッカーは福田。GKの逆を突き、ゴールに向かって左側にシーズン32得点目を決めた。

 次の瞬間、駒場スタジアムのゴール裏スタンドから、ファン・サポーターが用意していた無数の紙吹雪が舞い上がった。2-1で勝った浦和はニコスシリーズで8位と後退したものの、年間4位でフィニッシュ。50試合に出場して32得点を挙げた福田は、日本人として初めてJリーグ得点王に輝いた。

 ファン・サポーターが両手を揺らしながら歌う「ゲットゴール・フクダ!」のコールに乗って、縦横無尽にピッチを駆ける姿は浦和躍進の象徴。苦しい時代を支えてきたエースのタイトル獲得を、鮮やかな紙吹雪が祝福した。

●1995年の得点ランキング(全52試合)
1位 福田正博(浦和レッズ) 32得点
2位 スキラッチ(ジュビロ磐田) 31得点
3位 ビスコンティ(横浜マリノス) 27得点
4位 ベッチーニョ(ベルマーレ平塚) 25得点
5位 野口幸司(ベルマーレ平塚) 23得点
   カズ〈三浦知良〉(ヴェルディ川崎) 23得点
   ※5位まで、所属クラブ名は当時のもの

過去2年間の低迷から急浮上した浦和。過去2年間で計10得点だった福田も覚醒した(写真◎J.LEAGUE)

サントリーシリーズ第22節、大宮サッカー場(当時)で行なわれたサンフレッチェ広島戦。Vゴールで勝利を引き寄せた(写真◎サッカーマガジン)

年間52試合の長丁場だった95年のJリーグ。福田は50試合に出場した(写真◎サッカーマガジン)

Jリーグアウォーズでは釜本邦茂氏からトロフィーを受け取った(写真◎サッカーマガジン)