東京五輪が1年程度延期されることが決まった。U-23日本代表の正GK候補として、地元での五輪を目標に掲げていたサンフレッチェ広島GK大迫敬介は、すでに気持ちを切り替え、自身の成長に全力を注ぐ思いを明かしている。

上写真=東京五輪の延期が決まった翌日も、大迫はレベルアップを目指して練習に励んだ(写真◎石倉利英)

「優先するのは自分のチーム」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、当初の日程での開催が危ぶまれていた東京五輪は、1年程度延期されることが決まった。オーバーエイジの選手を除いて23歳以下の年齢制限がある男子サッカーが、どのような形で行なわれることになるかは未定だが、大会のメンバーに入りそうだった候補選手にとっては、大きな目標がひとまず先送りされたことになる。
 
 昨季サンフレッチェ広島の正GKとなり、東京五輪を目指すチームでも正GKに最も近い位置にいた大迫敬介は、以前から東京五輪への出場と、そこでの活躍を目標に掲げていた。3月25日の広島の練習後、「今年の夏に(五輪が)あるところから逆算して、あと半年、あと何カ月、という感覚で準備してきた」と語った大迫は、一方で「でも、こういう状態なので、ある程度は覚悟というか、しょうがないかな、と思った」と続け、延期は致し方ないとの考えを示している。

 U-23日本代表は3月に予定されていた国内での強化試合が中止となるなど、強化プランの大幅な見直しを迫られていた。それを踏まえて大迫は「なかなか代表活動ができない中で(東京五輪に)臨むよりは、もう1年しっかりとチーム力を上げた状態で行った方が、僕たちも不安なく挑めると思う」とコメント。延期を「ポジティブに捉えることもできる」と前向きに話した。

 仮に23歳以下の年齢制限が維持された場合、現在20歳の大迫は1年後でも問題ないが、広島MF森島司などはオーバーしてしまう。大迫は「三好(康児)選手(アントワープ=ベルギー)、板倉(滉)選手(フローニンゲン=オランダ)は早生まれですし、司くんも」と、そうした存在に思いを馳せながらも、「そこに頼り過ぎず、まず自分がポジションを奪うことを目標にしていけたら」とあらためて強い決意を示した。
 
 広島のGKは今季、大迫、林卓人、増田卓也、廣永遼太郎の4人がハイレベルな競争を繰り広げている。大迫は「まずは(Jリーグの)再開初戦でポジションを奪うこと。安定したパフォーマンスを、年間を通して出すことが五輪にもつながってくる。優先するのは自分のチーム」と広島でのレベルアップの重要性を強調し、「もう一つレベルを上げた状態でリーグに挑むチャンス。ポジティブに練習できている」と力強く言った。取材後、Jリーグの中断期間がさらに伸びることが決まったが、20歳の守護神は自身の成長に目を向けながら、目の前の課題に取り組んでいる。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英