J1の鹿島アントラーズは21日、北海道コンサドーレ札幌と無観客でトレーニングマッチ(45本×2本、35分×2本)を行なった。高卒ルーキーのFW染野唯月は3本目から出場し、プロ入り後初の実戦でいきなりゴールを決めてみせた。

上写真=ケガから復帰したFW染野(写真◎近藤俊哉)

挨拶代わりの一発

 大物ルーキーがようやくスタートラインに立った。

 サブ組中心の3本目からピッチに立つと、MF名古新太郎からのパスを受けてドリブルで持ち上がり、冷静にGKとの1対1を制してプロ入り後“初”ゴールを記録。「高校のときから武器にしている形でゴールを決められて、自信がつきました」。実戦デビューとなった試合で挨拶代わりの一発を叩き込み、笑顔を見せた。

 尚志高2年時に出場した全国高校サッカー選手権で5得点を挙げて得点王を獲得。高校3年生となった昨年7月には、鹿島では最も早く2020シーズンの加入内定を勝ち取った。だが、昨年11月に腰椎分離症が判明し、自身最後の選手権を欠場。鹿島加入後も別メニューが続き、今月10日にようやく全体練習に合流した。

 同い年のMF荒木遼太郎、MF松村優太はすでに公式戦デビューを果たしており、ケガの影響で彼らに後れを取っているが、焦りはない。新型コロナウイルスの影響でリーグが中断している中、リーグ再開後に照準を合わせている。

「自分にとって良いタイミングで復帰できて、いまのところ良いトレーニングができています。リーグが再スタートしたときにメンバーに入っていけるように準備をしているので、これからも日々の練習を頑張っていきたいと思います」

 プロ入り後初の実戦でしっかりと結果を残し、「攻撃では自分の良い部分が出せている」と自信をのぞかせるが、練習と本番は別物であることを理解している。「やっぱり認められるのはリーグ戦や公式戦なので、そういった試合で、ファン・サポーターの前でゴールを決めたい」。今季、鹿島は公式戦において3試合連続ノーゴールで3連敗中。得点力不足を解消するため、大迫2世の呼び声高いストライカーにかかる期待は大きい。

取材◎多賀祐輔