ルヴァンカップは第1節、J1、J2も第1節を終えて中断されることになった。再開までの間、開幕戦を材料に『シーズン最初の一歩』で目を引いた各クラブの注目選手を紹介していく。連載第3回は浦和レッズの新戦力レオナルドだ。

上写真=公式戦2試合で3得点。浦和の新戦力・レオナルドは破格の決定力を示している(写真◎J.LEAGUE)

文◎北條 聡

ワンタッチで確実に仕留める

 決める。とにかく、決める。

 目の前に転がってきたチャンスは、まず逃さない。いかにもストライカーらしいストライカー。それが浦和レッズの新助っ人レオナルドだ。

 この人の大きな特徴は位置取り勝負の脱力系。決まって人のいない場所へ潜り込み、味方のパスをゴールの四隅へていねいに流し込む。シュートを打つときは冷静沈着。焦りも力みもなく、やすやすとネットを揺らすのだ。

 公式戦2試合で3得点。早くも量産体制の勢いだから恐れ入る。まずベガルタ仙台とのルヴァンカップ第1節で名刺代わりの2ゴールを記録すると、続く湘南ベルマーレとのJ1開幕戦でもきっちり1ゴールを決めて実力を示した。

 いずれも巧みな位置取りで勝負あり――というワンタッチゴール。触れば1点、当てれば1点、蹴れば1点というチャンスを確実に仕留めてみせる。

サッカーに限らず、当たり前のことを当たり前にやるのが一番難しいとも言われるが、この人の場合は例外らしい。

 浦和が従来のゲームモデルにメスを入れたのもレオナルドにとっては好都合だろう。基本布陣を4-4-2に変更し、右の関根貴大と橋岡大樹、左の汰木康也と山中亮輔のタンデムが外から切り崩し、ボックス内へと折り返すサイドアタックが新たな幹となった。

 事実、レオナルドの3得点も外からの折り返しを決めたものだ。アシストは関根が1つ、山中が2つ。そこに泡木や橋岡が加わるのも時間の問題か。ワンタッチゴールの職人はたいてい横から入ってくるボールに強い。守備者がボールに釣られた瞬間、死角に潜り込めるからだ。

 しかも、浦和は2トップ。相方はあの興梠慎三だから当然、敵の守備者はそちらにも引っ張られる。おかげで仕事がやりやすいわけだ。興梠との連係はまだ発展途上。そのぶん、伸びシロがたっぷりある。相乗効果が高まれば、ゴールラッシュへ一直線か。