2年ぶりのJ1優勝を狙う川崎フロンターレは22日、リーグ開幕戦でサガン鳥栖と対戦した。結果はスコアレスドローに終わったものの、ルーキーのMF三笘薫らが期待を抱かせる働きを披露。東京五輪世代の大卒新人が大きな存在感を示した。

上写真=得意のドリブルでチャンスを作ったMF三笘(写真◎J.LEAGUE)

■2020年2月22日 明治安田生命J1リーグ第1節
川崎F 0-0 鳥栖

途中出場で流れを変える

 65分からピッチに入った三笘のドリブルは、破壊力抜群だった。左サイドでボールを持つたびにホームの等々力を沸かせ、チャンスを作り出した。いとも簡単に相手の逆を取り、鋭いカットインで切れ込んでいく。75分過ぎにはボールをぐんぐんと運び、またたく間にペナルティーエリア内に侵入。相手の際どいタックルにつぶされて、シュートこそ打てなかったが、可能性を感じさせた。

「少しは持ち味を出せたと思います。4-3-3のウイングは仕掛けることが必要なので。その形をもっと増やしていきたいです。ただ、ドリブルをしても、シュートまでいけなかった」

 たびたび好機をつくっても、試合後の表情には悔しさがにじんだ。ルーキーイヤーのリーグ初戦で、試合に出場しただけでは満足はできない。目標は開幕スタメンだった。

「もっともっと向上心を持ってやっていきたいです」

 A代表と五輪代表を兼任する森保一監督が視察に訪れていたことを報道陣から聞かされると、その顔はより引き締まった。

「得点に絡むプレーが最高のアピールになる。自分もいるんだぞ、というところを示していきたいです」

 まだまだ夢はあきらめてはいない。筑波大時代には東京五輪世代の年代別代表に招集された経験もあり、候補の一人。ほかにない武器を持つ変幻自在のドリブラーは、Jリーグで確かな一歩を踏み出した。3月のテストマッチまで時間は少ないものの、Jの舞台で底知れないポテンシャルを示したはずだ。

取材◎杉園昌之