浦和レッズがリーグ開幕戦で4年ぶりに勝利。チームを勢いづかせたのは、エースの一発だった。1点を追う39分に反撃ののろしを上げるゴールをマーク。前人未踏の9年連続二桁ゴールを目指す興梠慎三が、幸先の良いスタートを切った。

上写真=開幕戦で浦和のファーストゴールを挙げた興梠(写真◎J.LEAGUE)

■2020年2月21日 J1リーグ第1節
湘南ベルマーレ 2-3 浦和レッズ
得点:(湘)石原直樹、山田直輝 (浦)興梠慎三、レオナルド、関根貴大

開幕戦で取れたのは大きい

 クロスからのゴール奪取はまさに職人芸。相手DFに囲まれながらも、絶妙のポジショニング取りを見せる。電光石火のカウンターで裏に抜け出した汰木康也が左サイドから折り返すと、一瞬でマークを外して、ぴたりと左足で合わせた。

 シュートは相手のGKに一度弾かれたものの、素早く右足で詰めてゴールに押し込んだ。

「一発で決めないといけなかったよね。まっさきに汰木が、自分にアシストつかないと言ってきましたよ」

 自身でも珍しいという開幕戦ゴールには笑みを漏らしていた。

「毎年、開幕戦でゴールを決めているイメージはない。いつもスロースタートなので、ここで取れたのは良かったと思いますね」

 ルヴァンカップの開幕戦は、練習中に右足を負傷して欠場。この日も状態は万全ではなかったが、なんとか間に合わせてピッチに立った。前線で体を張って起点をつくり、ターゲットマンとしても機能。さすがの存在感を示していた。

 ただ、この日ゴールを決めたレオナルドとの連係は発展途上。2トップで崩す場面はまだ少ない。

「キャンプと公式戦は全然違う。これからコンビネーションで崩すしていく形も増やしていきたい」

 今年で34歳を迎えるが、得点感覚の鋭さは変わらない。汰木、柴戸海ら若い選手たちの躍動する姿に刺激を受けていた。

「若いヤツには負けていられない」

 浦和に加入して8年目。エースとして君臨し、クラブ通算得点は「99」に。ついに100ゴールの大台にリーチをかけた。昨季から浦和愛を口にするたびに口にしてきたことがある。

「浦和で100点をひとつの目標にしてきた」

 もう目の前に迫っている。

取材◎杉園昌之