2020年は、松本泰志にとって勝負の年だ。所属するサンフレッチェ広島で定位置確保を目指し、今夏の東京五輪出場も狙う。二兎を追って二兎を得ることはできるか――。若きボランチに新シーズンへの決意を聞いた。

裏をかくことを考えている

開幕戦で対戦する鹿島のFW上田綺世と。ともに東京五輪世代だ(写真◎J.LEAGUE)

――松本選手の中でプレーしていて一番、爽快な瞬間はどんなときですか。アシストなのか、ゴールなのか、描いたとおりの展開を導くパスなのか。

松本 やっぱり、相手の裏をかいたときですね。トラップでもパスでも、相手が「うわっ」ってなっているときが、自分としては一番、爽快な気持ちになります(笑)。いま、裏をかけたんだなって。

――プレー中は常に裏をかくことを考えている?

松本 相手の動きを見て、裏をかくというのは自分の中で常に意識していることですね。

――それは昔からですか。

松本 高校のときからですね。高校時代一番、考えたことです。

――昌平高校でインターハイに出て、そのまま地元に戻らず、広島で練習参加したということがありましたね。

松本 ありました。そのまま練習しましたからね。

――それまでプロクラブとの接触はあったのですか。

松本 いや、まったくです。プロなんて行けないと思っていたので。

――インターハイでそれほど、鮮烈なプレーを見せていたということになりますか。

松本 どうですかね。そうだったんですかね(笑)。スタッフに聞いたことはないですけど。森保(一)さん(現日本代表&五輪代表監督)とか、広島のスタッフが何人かで来ていたらしいです。

――いわば、松本選手を発掘した森保さんが今は五輪代表の監督です。AFC U-23ではチームとして結果が出なくて批判の声もあがりましたが、その声は選手たちにも届いていましたか。

松本 そうですね。選手たちだけでミーティングとかもしましたし、危機感は持っていました。大会を経たあとで、オリンピックまで半年しかないではなくて、半年もあるので、まずは個々がレベルアップしないといけないと感じました。あの大会でチームとして目指しているところを再確認できたことは大きかったと思っています。

 それに僕個人としては、もっといろんな面でレベルアップが必要だと感じさせられました。勝負がかかっている試合で、もっと自分の実力を発揮できるようにメンタル面も鍛えていかないといけない。フィジカルも、そうです。体幹を鍛えて、体を大きくしないといけない。

――今後、東京五輪に向けても広島でポジションを取ることが重要になると思います。

松本 僕自身、まずは所属チームで試合に出続けることが一番大事なことだと思っています。その中で結果を残すこと、自分の強みをしっかり出すことが重要だと思います。それと同時に五輪代表の活動でもしっかり結果を残さなければいけない。日程面なども含めて、それは難しいことですけど、それが代表選手の役割だし、宿命だと思います。今は逆に、そういう状況は楽しみだなと思っています。
(五輪代表の)ボランチに良い選手がいっぱいいる中で残っていくのは簡単じゃない。だからこそ広島で毎回毎回、インパクトのあるプレーをすることが必要だと思っています。しっかり準備していきたいですね。

――2020年の目標を、ずばり言うと?

松本  まず、試合に出ること。そしてサンフレッチェ広島としてタイトルから遠ざかっているので、タイトルを取ることが目標です。前回のタイトルを知る選手も、移籍があったり、引退があったりで少なくなってきました。そろそろ取らないといけないと思っています。僕は広島に拾ってもらったので、その恩はずっとありますし、だからこそ、そろそろ恩を一つ、返したいと思います。

キックオフカンファレンス前に実施した独占インタビュー。2020年にかける思いを率直に語った(写真◎BBM)

取材◎佐藤 景