新体制の清水エスパルスとタイトル奪取が命題のFC東京。それぞれの思惑が絡み合った一戦になる。クラブを変えようとする清水が昨季2位のFC東京にどう立ち向かうかがポイントになりそうだ。

上写真=就任1年目のクラモフスキー監督(左)と長谷川監督(写真◎J.LEAGUE/Getty Images)

■明治安田生命J1リーグ第1節
 2020年2月23日(13:00)@IAIスタジアム日本平
 清水エスパルス vs FC東京

若手が加えるエッセンス

 ホームで開幕を迎える清水エスパルスは、改革の年を迎えている。昨年のリーグチャンピオン、横浜F・マリノスのヘッドコーチだったピーター・クラモフスキーを監督に迎え、攻撃的なフットボールを新たな伝統にしようと一歩踏み出した。ピッチの上のことだけではなく、クラブエンブレムなどのビジュアルも一新して、クラブ全体で進化へ向かって突き進んでいる。

 速くてアグレッシブで攻撃的。クラモフスキー監督は自らがこのクラブに施す革命的フットボールをこう表現したが、もちろん最初からうまくいくわけではない。2月16日のYBCルヴァンカップでは、アウェーで川崎フロンターレから1ゴールを奪ったものの、5失点を喫して、今季は黒星でのスタートとなった。

 川崎Fとはチームの継続性や完成度に差がある中での対戦だから、必要以上に肩を落としているわけでもない。「自分たちのサッカーができなかったときに、そこを突かれてしまった」と指揮官も反省点の洗い出しは済んでいる。

 リーグ開幕の相手も川崎F同様に、本気でタイトルを狙うFC東京だ。クラモフスキー監督も「FC東京は強いチーム。だから良いテストになると思っている。もちろんどの相手もリスペクトしているので、毎試合集中してやっていきます」と成功への意欲は少しも陰ることはない。

 一方のFC東京は好調が続く。すでに1月28日のプレーオフからアジア・チャンピオンズリーグを戦っていて、本戦では2月11日にアウェーで蔚山現代に1-1で引き分け、18日のホーム、パース・グローリー戦は1-0で勝利を収めた。上々の滑り出しだ。

 リーグ開幕戦で相まみえる清水は、長谷川健太監督にとっては古巣。ただ「もう何度も戦っているから、古巣だといって特に何かあるわけではない」とクールに受け流す。

 それよりも、新戦力の台頭で頭を悩ますだろう。ルーキーのMF安部柊斗やDF中村帆高、さらにはMF紺野和也がピッチで勇躍し始めている。長谷川監督も例えば安部については「東(慶悟)が蔚山戦にケガで出場を見合わせたときも、安部が豊富な運動量で十分に埋めてくれた。期待していますよ」とストレートに拍手を送っている。

 昨季は終盤に逆転されてリーグ制覇のチャンスを逃した。今季こそ、の思いはレアンドロ、アダイウトンという強烈アタッカーの補強にも表れている。加えて、ACLを含めた過密日程で長谷川監督もターンオーバーを視野に入れていると話すだけに、このルーキーたちのきらめきが勝利を彩るかもしれない。