今季、フランス1部のトゥールーズからG大阪へ完全移籍で加入したDF昌子源。2月14日に東京都内で開催されたキックオフカンファレンスで取材に応じ、日本復帰の経緯、自身のケガの状態、そしてJリーグへの思いを語った。

「Jリーグあっての海外」

 27歳でのJリーグ復帰は『早すぎる』という声もある。それでも本人は「成功か失敗かを決めるのは僕なので」と意に介さず、海外でプレーすることだけが正解ではないと語る。2018年のロシア・ワールドカップで国内組(当時は鹿島所属)では唯一レギュラーポジションをつかみ、日本のベスト16進出に貢献した男の言葉には説得力がある。

「ヤットさんを見ても思うけど、結局ずっとJリーグでやってきた人が“日本の心臓”と呼ばれて、152試合も試合に出て記録を持っている。だけど、いまのJリーガーで『海外組だから何?』『海外組じゃないと代表に入れないの?』みたいな感じを出す人がいない。だからファンの人も『海外組、海外組』って言う。でも、みんなJリーグで育っているし、Jリーグあっての海外なので。僕も1年挟んでるけど、それ以外はずっとJリーグ。自分がまた代表に選ばれて、試合に出て、『海外組じゃなくてもやれる』というのを見せていきたい。日本に帰ってきたので、それはもう一回やるべき仕事なのかなと思っています」

2018年のロシアW杯ではCBのレギュラーとして日本の16強入りに貢献。国内組の意地を見せた(写真◎Getty Images)

 2011年に米子北高から鹿島に加入し、常勝軍団の一員として経験を積みながら、日本代表に選出されるまでの選手へと成長した。そんな昌子には“Jリーガー”としての自負がある。

「アンドレス(・イニエスタ)とかが日本に来てくれて、注目度も上がって、観客数も伸びているというけど、それがアンドレスの効果と言われたら、Jリーガーとしたら悔しいところもある。もちろん分かるよ。僕だって見たいもん(笑)。でも、日本代表でバリバリやっている選手をJリーグで見られたら、それだけですごい集客効果だと思うし、僕はそれをあきらめずにやりたい。また、若い選手がそれを感じ取ってくれるような振る舞いを、ガンバで見せていければと思います」

 近年は10代でヨーロッパに渡る選手も多く、スター不在が叫ばれて久しいJリーグ。だが、昌子のような気概を持ってプレーする選手がひとりでも増えれば、状況は変わるのではないのだろうか。『イニエスタ効果』ならぬ、『昌子効果』でJリーグの価値が向上することを期待したい。

取材◎多賀祐輔