昨季チームを9位に導き、J1優秀監督賞を受賞した片野坂知宏監督。その確かな指導力は誰もが認めるところだが、就任5年目を迎える指揮官は、今季もしっかりと足元を見ながらチームを作っている。

上写真=昨季のJ1優秀監督賞に輝いた片野坂監督(写真◎Getty Images)

まずはJ1残留を目指す

 勝ち点55、得点50、失点35。片野坂監督が設定した今季の目標だ。

「昨年の後半戦はゴールが少なく、勝ち点につながらなかったので、得点50を目標に設定しました。それが達成できれば、恐らく勝ち点55も達成できるかなと思います」

 昨夏以降、対戦相手に研究されたことで伸び悩んだ得点不足解消のため、川崎FからFW知念慶、広島からFW渡大生、徳島からMF野村直輝ら実力者を獲得した。指揮官は新戦力の活躍に太鼓判を押す。

「能力がある選手なら誰でもいいわけではなく、トリニータの基準に達している選手を入れるようにしています。チームのためにしっかり貢献してくれるメンバーが集まってくれました」

 昨シーズンは、夏にFW藤本憲明が神戸に引き抜かれ、シーズン終了後にはチーム得点王のFWオナイウ阿道がJ1王者の横浜FMへと移籍した。それでも「選手の出入りは仕方がないこと」と語り、「自分たちの戦術のコンセプトは変わらないですし、ベースを上げることは毎年やらないといけません」と、限られた強化費の中で今季もチーム作りを進めている。

 今季で就任5年目。2016年に監督に就いた当時はJ3だったチームを3年でJ1まで昇格させ、昨季はJ1優秀監督賞を受賞するなど周囲からの評価はうなぎのぼりだが、信念は昔から変わらない。

「練習で出来ないことは、試合でも出来ない。練習でやったことが必ず試合に生きると信じています」

 昇格2年目の今季も日々の練習を大切にしながら、まずは残留ラインと定める勝ち点40突破を目指す。「大事なのはJ1に定着すること。もし早く40を越えることができれば、上位進出も見えてくるかなと思います」と謙虚に話した。