就任4年目の鬼木達監督は、信念を持って攻撃改革に着手している。昨季はルヴァンカップ初優勝を成し遂げたものの、リーグ戦4位の悔しさの方が勝った。2年ぶりのリーグタイトル奪還を目指し、今季は新スタイルで臨む。
上写真=就任4年目を迎えた鬼木監督(写真◎J.LEAGUE)
変化に挑む2020シーズン
最大のテーマは、引いて守る相手を崩す。川崎フロンターレの鬼木達監督は、その一つの解決方法として、システム変更に踏み切った。昨季、ベースとなった4-2-3-1から4-3-3へシフト。キャンプでも何度もテストを繰り返していた。
「いままでのプラスアルファだと思っています。スピード、幅がより出るのかなと。キャンプでは、いろいろなゴールの形が生まれました。パターンが増えただけではなく、ゴールに向かう回数、意欲がこれまでとは違います。ただ、自分たちはフロンターレ。ボールを大切にするサッカースタイルは変わりません。システムありきになってはいけない」
練習試合では何度もゴールラッシュを披露したが、リーグ2連覇を経験している指揮官の顔に慢心はひとつも見えなかった。
「練習試合と本番(公式戦)は違う。実際にやってみないと分からない。システムが変わっても、一番大事なのは気持ちです」
戦術だけではなく、チームマネジメントにも目を配る。新シーズンは28歳の谷口彰悟をキャプテンに指名し、責任を持たせてさらなる成長を促すという。前主将の小林悠がチームの大黒柱として自覚を強く持ったように、新たなリーダーにも期待を寄せていた。
「責任感を持つ選手を増やしていきたい」
今季は4人の大卒新人に加え、アカデミーからも一人が昇格。徐々に若返りを図るチームに合わせ、リーダーの養成にも力を注ぐ。鬼木監督が見ているのは、目先の勝利だけではないのだろう。将来を見据えたチームづくりも、着々と進めている。
取材◎杉園昌之