就任2年目を迎えるサガン鳥栖の金明輝監督。昨季途中にルイス・カレーラス監督から急きょバトンを受けると、低迷していたチームを見事に立て直し、J1残留に導いた。今季は一ケタ順位を目指し、チーム再建に力を注いでいる。

上写真=J1最年少38歳の金明輝監督(写真◎J.LEAGUE)

地方クラブの意地と誇り

 2年連続でシーズン途中に“緊急登板”し、2度もJ2降格の危機から救っているのだ。金明輝の手腕は推して知るべしだろう。今季はシーズン開幕前のキャンプから指揮を執り、一からチームを作っている。

「目標は一ケタ順位。勝つためには、昨季のままではダメです。攻撃も守備もリアクションではなく、自らアクションを起こす。昨季は負けないためのサッカーでした」

 19年シーズンは自陣で無理してパスをつなぐことはなく、敵陣に早くボールを運ぶことを優先。守備に重きを置き、まず失点しないことを心がけた。しかし、新シーズンは攻撃力の強化に力を入れている。システムも4-3-3に変更した。

「前に人数をかけています。敵陣でボールを奪い、攻め切りたいです。アカデミーでは4-3-3システムを採用していますし、むしろ生え抜きの選手たちは慣れています。いまチームには活きのいい若手たちが多くいますし、彼らの成長を促したい。それによってベテランも刺激を受けて、奮起してくれると思います」

 キャンプでの手応えは五分五分。まだ完成度は高くないが、堅固な守備が大崩れすることはない。攻守両面で基準を設けており、ベースとなるものを築いている。選手たちも意欲的に新しいサッカーに取り組んでおり、一歩一歩チームは前に進む。

「思い描くシーンを徐々につくれるようになってきています」

 ただ守るだけではない。20年は"鳥栖ニュースタイル"で飛躍する。

「鳥栖はビッグスポンサーが後ろ盾してくれるようなクラブではない。資金力が限られた地方クラブのひとつです。若い選手たちを育て上げて戦力していく。サッカーで生き様を見せていきたい」

 J1最年少となる38歳の青年監督は、強い覚悟をにじませた。

取材◎杉園昌之