昨季、戦術家として知られるロティーナ監督が就任したセレッソ大阪は、リーグ最少失点で5位となった。オフには課題の得点力向上のため的確な補強が行なわれ、スペイン人監督は2年目のチームに手応えを得ているようだ。

上写真=昨季からC大阪を率いるロティーナ監督(写真◎Getty Images)

目標は口で話すものではない

 始動直後から戦術的な練習に取り組み、チーム作りは順調に進んでいる。就任2年目を迎えたロティーナ監督は昨季との違いについて、「一番大きいのは、我々(コーチングスタッフ)がより選手たちのことを知っていること。そして、選手たちも我々のことをより知っている」と話す。

 昨季は序盤につまずいたが、徐々にスタイルの浸透が進むと、シーズン後半戦は11勝3分け4敗と大きく勝ち越し、最終的に5位で終えた。リーグ最少の失点25という数字は、指揮官が重んじる守備の規律が定着した証拠だ。上積みを図る今季は、FW豊川雄太やMF坂元達裕ら即戦力をピンポイントで補強し、長期離脱していたFW都倉賢も戦列に復帰。「幸運にもポジティブな迷いがある」と語るように、チーム内の競争は高まっている。

 2年目の今季は否が応でも期待が高まるが、「我々が去年より良いプレーをしても、ほかのチームがもっと良いプレーをしたら、去年と同じような結果を得るのは難しい。J1はそれほど競争の激しいリーグですし、素晴らしいチームがそろっています」と、謙虚な姿勢は崩さない。物静かな指揮官は、不言実行の精神を貫く。

「口で言う目標に意味はありません。我々がやるべきことは、自分たちの全力を尽くすこと。順位の目標は口で話すものではなく、プレーで話す必要があります」

 リーグ開幕戦は2月22日、ホームで大分トリニータと対戦する。選手たちがピッチ上で示すプレーに、耳を傾けたい。