昨季はチーム最多、キャリアハイのリーグ戦8得点を挙げた柏好文。切れ味鋭いドリブルで多くのチャンスをつくる持ち味に、得点力を加えたサイドアタッカーは、新シーズンも目の前の試合に全力で挑み続ける。

上写真=チーム全体で得点力アップを目指す今季も、攻撃の主軸として期待される柏(写真◎石倉利英)

チーム最多得点&最多出場時間

 プロ10年目の昨季、柏好文は得点においてサンフレッチェ広島をリードした。J1リーグ8得点はチーム最多で、キャリアハイ。それまでの最多が4得点(2012年、13年、15年、18年)だったから、一気に倍増となった。

 また、全34試合に出場したのはMF川辺駿と2人だけで、出場時間(3041分)は最長。左アウトサイドで見せるドリブル突破やフリーランニングなど、まさに縦横無尽の活躍を見せている。

 ただ、チーム総得点は45で、リーグ8位タイ。29失点でリーグ2位タイだった守備力とのバランスを取りつつ、得点力を高めていけるかが15年以来のJ1制覇、さらに他のタイトル獲得へのポイントの一つと言える。

 2月23日、鹿島アントラーズとのJ1開幕戦に向けて、柏は「入りから良い形で勝ち点を取っていけるようにしたい」と意気込みを語った。16日にはルヴァンカップが先にスタートし、横浜FCと対戦するが、「そこで結果を出して、リーグ戦につなげていきたい」。広島は17年にスタートで出遅れ、シーズンを通してJ1残留争いを強いられているだけに、序盤の重要性は誰もが分かっている。

 12日の練習はサイドアタックの確認に多くの時間を費やした。城福浩監督はサイドから攻め込んだときの決定力アップを課題に挙げており、「練習試合を通じて共有してきたので、改善してきているが、もっと点を取れるはず。90分間を通してサイドからは攻め込める自信があるので、そこから点を取るために(連係を)合わせていくことは、年間を通じてやっていきたい」と語った。その過程では、サイドからのチャンスメークと得点で実績を残した柏の存在も重要なものとなりそうだ。

「ルヴァンカップもリーグ戦も、一戦必勝で戦うだけです」。シンプルな言葉に強い決意を込めて、プロ11年目のスタートに備えている。

文・写真◎石倉利英