シーズン幕開けのFUJI XEROX SUPER CUPは、天皇杯王者のヴィッセル神戸がPK戦でJ1王者の横浜F・マリノスを下し、初優勝を飾った。仕上がりの良さが目立ったのは神戸のFW古橋亨梧。走って働き得点でも勝利に貢献した。

■2020年2月8日 FUJI XEROX SUPER CUP 2020(埼玉スタジアム2002)
横浜FM 3-3(2PK3)神戸
得点者:(横)M・ジュニオール、扇原貴宏、エリキ (神)ドウグラス、古橋亨梧、山口蛍

エースの自覚

 天皇杯王者の神戸が始動したのは1月22日。動き始めてまだ半月ほどで全体的にコンディションのばらつきは見えたものの、"走り屋"古橋のエンジンは全開だった。

 切れのあるドリブルでJ1王者・横浜FMのDFを置き去りにしたかと思えば、守備でも足を休めない。持ち味の俊足を飛ばし、敵陣の深い位置まで猛烈なプレスをかけ続けた。前半40分には相手CBのチアゴ・マルチンスのバックパスをかっさらい、あっさり無人のゴールへ。「ラッキーな得点でした」と謙虚に振り返ったが、相手の体の向きをしっかり見て、パスコースを読んでいた。

「(T・マルチンスが)バックパスするかな、と思いました」

 闇雲に走り回っているわけではない。足だけでなく、頭もフル回転させているのだ。85分にベンチに下がるまで献身的に働いた。前線からのプレスには手応えがあった。「何本か足に当てて、チャンスを作った。奪い切ることもできたので、そこは継続していきたい」

 ただ現状には満足していない。プレスの連動性を欠く場面を思い返し、「プレスを外されて、僕ら(前線)のところを突破されたシーンもあった。もっと守備をやらないといけない」と神妙な顔で反省した。

 ストライカーとしての矜持もある。「次は崩した形で点を取りたい。今季の目標は15ゴール。アシストは二桁」。昨季のリーグ戦10ゴールを大きく上回る設定である。背番号を16番から11番に変更したが、気持ちは変わらない。

「昨季からエースの自覚は持っています」。

 この日、新戦力として加わったFWドウグラスも1ゴールをマーク。得点源はひとつではない。「(ドウグラスとの連係は)少しずつ合ってきている」。新コンビの期待も高まるばかりだ。

取材◎杉園昌之