ファジアーノ岡山から柏レイソルに加わった仲間隼斗にとっては、アカデミーで6年間を過ごしたクラブへの帰還となる。9年ぶりに帰ってきた古巣で、胸に秘めていた思いと積み重ねてきた経験をすべて出すつもりだ。新体制発表で、その覚悟を聞いた

上写真=仲間の背番号は33。日立台でプレーすることが楽しみだという(写真◎BBM)

厳しい環境で学んできた

「長かったですね」。柏U-18を出て以来、黄色いユニフォームを取り戻すまでの道のりを、そう振り返る。

 3クラブを渡り歩いた9年間は、濃密だった。熊本では最初の2年間こそ年間半分の出場数に満たなかったが、その後は主力としてプレー。しかも、「毎年J2にいるかいられないかというところで戦っていたので、厳しい環境で学べた部分はすごくあります」と内面も鍛えられた。

 ただ単に、もがき苦しんできただけではない。ファンの前で「攻守に100パーセントプレーする」と自分の持ち味を語ったように、守備でもチームを助けるが、昨季はキャリアハイの15得点を記録。それまでの最多得点は8ゴールだった。ようやく努力が花開いた格好だ。

 柏U-18時代、一番の目標だったトップチームへの昇格を果たせなかったときには、大きな悔しさを感じたという。だが、「今思えばこれが正解だったと思う。9年という下積みは、本当に良かったと思います」と今なら言い切れる。今回の柏からのオファーは、布部陽功ゼネラルマネージャーらが、昨年の仲間のシーズンを通してのパフォーマンスを評価しての決断だったという。

「一瞬の評価じゃなくて、トータルして僕のパフォーマンスを見てもらっていました。その上で、僕の良い部分をレイソルでも出してほしいと言われたので、良い評価をもらえたかなと思っています」

J2通算295試合を戦い抜いた実績は、伊達ではない。

 ボールボーイを務めたこともある日立台のピッチに、今度はトップの選手として立つ。しかも、自身にとって初めてのJ1の舞台だ。「もう28歳になる中堅の立場なので、後輩にはどんどん自分の背中を見せて、ユースの子やトップチームに来たばかりの子たちを引っ張っていける存在になりたい。大谷(秀和)さんや鎌田(次郎)さんといった、僕らが追いかけてきた背中に早くもっと近づいて、レイソルを背負って立てる存在になりたいと思います」。

 古くて新しいニューフェイスは、覚悟が一味違う。

取材◎杉山 孝