J1優勝争いを繰り広げる横浜FMが、等々力陸上競技場で川崎Fとの『神奈川ダービー』に臨んだ。前半にFW仲川輝人が先制点を決めると、後半にはFWエリキが2点を奪取。74分に川崎Fのレアンドロ・ダミアンに1点を返されるも、89分にはFW遠藤渓太がダメ押しの4点目を挙げ、リーグ制覇に王手をかけた。

上写真=89分にチーム4点目をスコアした遠藤(写真◎J.LEAGUE)

■2019年11月30日 J1リーグ第33節
川崎F 1-4 横浜FM
得点者:(川)レアンドロ・ダミアン (横)仲川輝人、エリキ2、遠藤渓太

「自分たちはすごく良いサッカーをしている」

「今日はサポーターのために勝とう。そして、次のFC東京戦は、自分たちのために勝とう」

 試合前にアンジェ・ポステコグルー監督がそのように話していたことをFW遠藤渓太は明かした。

「たくさんのサポーターが必ず来てくれると思っていた。ここで勝てないチームが、リーグ優勝をできるとは思っていない」

 スターティングメンバーを外れた遠藤は、等々力陸上競技場に詰めかけたトリコロールのサポーターたちの声援を耳にしながら、ベンチで戦況を見つめた。

「ベンチから見ていても、自分たちはすごく良いサッカーをしていると思っていた。ああいう早い時間に先制点を取れたことがすごく大きい」

 チームは前半8分に先制ゴールを奪い、後半にも加点。3-0とリードを広げた。その後、川崎Fに1点を返され、2点差となった状況で、指揮官から遠藤に声がかかる。背番号11は、81分にピッチへと投入された。

「途中から出るときはリードしている状況だったので、僕が追加点を取ることを、しっかり頭に入れてプレーしていました」

 そして、待望の瞬間は試合終了間際の89分に訪れる。相手DFからボールを奪い、ゴール前でGKを引き付けたFWエリキからパスを受けた遠藤は、無人のゴールへと蹴り込んだ。

「得点に関して言えば、僕が評価されるポイントは“あそこにいた”ということだけですね。99パーセント、ほぼエリキのゴールだと思っている。彼は(この日)2点を取っていたのだから、普通ならば誰でも3点目を取りに行くと思うけれど、あそこで冷静にパスをくれたことに、感謝したいです」

 自らのハットトリックよりも、味方のゴールをお膳立てしたエリキを遠藤は称える。ディフェンディングチャンピオンの川崎Fを相手に、敵地で4-1と完勝。2位FC東京と勝ち点3差、得失点で7差とした。最終節の直接対決を前に、J1優勝へと大きく近づく勝利を手に入れた。

「(優勝の)チャンスがある中で、みんなにもプレッシャーはあるだろうけれど、サポーターのために勝てたと思うし、サポーターだけではなく、クラブのスタッフ、関わる人すべてに(勝利を)捧げようと思っていました。しっかりと自分たちのサッカーをした上で、勝てたことに自信を持って、(最終節の)FC東京戦に臨めるのではないかな。みんな、勝つ気で次に臨むだろうから、楽しみにしてもらえれば」

 2004年以来、15年ぶり4度目のJリーグ制覇を果たすために、生え抜きのドリブラーは最後まで走り続ける。

試合後、サポーターとともに勝利を喜ぶ遠藤ら横浜FMの選手たち(写真◎J.LEAGUE)

取材◎小林康幸

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