ホーム&アウェー方式で行なわれたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の2試合を終え、直後のリーグ戦でも鹿島と広島が顔を合わせた。ACLではアウェーゴール数で及ばず敗退となった広島は、この日も試合開始からわずか50秒で鹿島に先制を許し、序盤から苦しい状況を強いられる。それでも、27分にハイネルのクロスに柏好文が右足で合わせて同点。前半を1-1で折り返す。後半も鹿島に勝ち越しゴールを決められビハインドを負ったが、試合終了間際の90+4分に野津田岳人のパスを受けた柏が再びゴールネットを揺らし、再び同点に追いつく。試合はこのまま終了し、広島は敵地で勝ち点1を獲得した。

上写真=後半アディショナルタイムに同点ゴールを挙げた柏をチームメイトが祝福する(写真◎J.LEAGUE)

■2019年6月30日 J1リーグ第17節
鹿島 2-2 広島
得点者:(鹿)レアンドロ、町田浩樹 (広)柏好文2

「まだまだ優勝を狙える位置にいると思う」

 多くの鹿島サポーターが詰めかけたスタジアムを、柏好文の一撃で静まりかえらせた。

「5分」と掲示された後半アディショナルタイムも4分を迎えようとするときだった。DF佐々木翔からFWパトリックにスローインが入る。パトリックがヘディングでフリックしたボールが、FWドウグラス・ヴィエイラ、MF野津田岳人と渡り、最後は柏の右足によってゴールへと流し込まれた。

「『負けたくない』という広島のみんなの思いを込めて、シュートを打ちました」(柏)

 5日前には、同じ鹿島の前にACL敗退を喫した。ホームでの第2戦で勝利し、2試合合計スコアで3-3と並んだものの、アウェーゴール数で及ばず選手たちは悔しい思いを味わった。それだけに、柏にとっても続けざまに迎えたリーグ戦の鹿島戦への思いは強かった。

「ACLでは(ラウンド16を)突破できなかったので、(リーグ戦では)『必ず勝つ』という強い気持ちを持って臨みました。引き分けという結果で勝ち点3は取れなかったけれど、アウェーの地で、(2度リードされる)難しい状況の中で追いついたことを評価したい。次節につながる結果にはなったかなと思います」(柏)

 ACL、天皇杯を含めた連戦が続くが、リーグ戦に目を向けると前節(○2-0湘南)に続いての連勝とはならなかった。第8節から5連敗を喫し、その後は復調の兆しを見せているものの、安定して白星を重ねられていない現状もある。

「勝てていないので、勝ってみんなと喜びたいです。それがサッカーの醍醐味だと思うし、勝ってみんなで喜んだ方が、サッカーというスポーツは楽しい。たくさん勝利を重ねて、もっとみんなで喜び合いたい。まだまだ優勝を狙える位置にいると思うので、頑張っていきたい」(柏)

 広島の背番号18は、クラブ4度目のリーグ制覇へ向けて巻き返しを誓う。

取材◎小林康幸