上写真=鹿島戦で途中出場し、J1デビューを飾った鈴木
写真◎Getty Images

■2019年3月9日 J1リーグ第3節
鹿島 1-0 湘南
得点者:(鹿)安西幸輝

初めての右サイドバック

 今季、長崎総科大附高から湘南に加わったルーキーの鈴木冬一が、J1デビューを果たした。1点を追う71分、武富孝介に代わって途中出場。チームは退場者を出して一人少ない状況だったが、右ウイングバックの位置に入り、持ち前のドリブルで果敢にボールを前へ運ぶ場面を何度か作った。

「ワクワク感しかなかった。ボールを持ったら、まずは前を向く。今日は0-1で負けていたから、特にそれを意識していた。そんなに長い時間ではなかったけれど、その中で何回かチャンスを作れたと思う。そこは自分の中での収穫です」

 その後、同点を狙う湘南は、83分に前線の駒を増やすため、4バックに変更した。鈴木はポジションを1列下げ、右サイドバックへ。

「最初、『4バック』と言われたときは、自分は右サイドハーフになるのかなと思ったけれど、試合中の流れから『右サイドバック』と言われた。初めてプレーするポジションだったけれど、そこまで抵抗はなかった。右サイドバックとしての仕事をして、得点にも絡めるようなプレーをしたいと、あの(システム変更の)瞬間に思いました」

鈴木は右サイドでプレーし、前へ仕掛ける姿勢を見せた 写真◎Getty Images

「少しは自信がついた」

 3日前にはルヴァンカップ(長崎戦・●1-2)で湘南でのデビュー戦に臨み、この日もチャンスがめぐってきた。しかし、結果はどちらも敗戦。「まだまだ自分は甘いし、課題も多い」と、悔しさをにじませる。それでも、鈴木のプロキャリアはまだ、始まったばかりだ。

「負けは負け。自分が入って引き分けにしたり、少しでもチームの力になりたかった。でも、(J1で)全然できないわけではないと感じた。だから、少しは自信がつきました。試合に出してもらったときは、自分がプレーすることへの責任を持ち、チームを勝たせることを課題として取り組んでいきたい。ミスを減らし、チームのプラスになれるプレーができるようになればと思う。次の目標は、このベルマーレでスタメンに定着すること。そのためにも、ルヴァンカップ(長崎戦)や今日の試合で出場できた経験は生きてくると思う。ベルマーレをより強く、より勝てるチームにしたいから、反省すべきところはしっかりして、気持ちを切り替えて次の試合に臨みたい」

 C大阪の下部組織で育ち、高校サッカーの名将・小嶺忠敏監督の下で育まれた才能は、湘南の地でさらなる進化を遂げようとしている。

取材◎小林康幸