上写真=キャンプで軽快な動きを見せている山田直輝
写真◎杉園昌之

 J1の浦和は沖縄県国頭郡金武町での2次キャンプ2日目の2月2日、金武町フットボールセンターで練習を行ない、本格的な実戦形式のメニューをスタートさせた。8対8に分かれたハーフコートのゲームでは新戦力が躍動。C大阪から完全移籍で加入した杉本健勇はナバウトと2トップを組み、ポルトガルから来たブラジル人のエヴェルトンは中盤の底でプレー。柏から移籍してきた鈴木大輔は3バックの一角で存在感を示した。オズワルド・オリヴェイラ監督からは厳しい声が飛んでおり、実戦メニューが増えても、練習の強度は変わらないという。トレーニング後、選手たちの表情には余裕は見えない。「毎日が厳しいです」とぽつり。鍛えに鍛えて、今季は史上初のACLとリーグの2冠達成を狙う。

「昨季は悔しい思いをした」

 体が軽く、キレている。独特のテンポでボールを散らしてリズムを作ったかと思えば、守備になると、果敢にプレスをかける。湘南から浦和に復帰し、2年目の山田直輝がやる気に満ちている。

「積極的にアピールしていく。チームは天皇杯で優勝したが、個人的には充実感を得ることができなくて、悔しい思いをした」

 昨年6月に右腓骨を骨折し、シーズンの半分を棒に振った。オリヴェイラ監督からは才能を認められ、出場機会を与えられつつあっただけに悔やまれる離脱だった。

 今季も攻撃的MFのポジションには柏木陽介を筆頭に代表クラスの実力者たちがひしめく。それでも、負けるつもりはない。湘南の3年間で心身ともに鍛えられ、組織のなかで個を生かす術を身につけた。チームが苦しいときに走り、戦い続けてきた自負もある。湘南で生まれ変わった男は、浦和ではまだその能力を存分に見せつけてはいない。今季に懸ける思いは強い。

「自分の持ち味を出すことだけを考えていきたい。余計なことは考えない。それがチームのためにもなると思っている」

 チームを活性化させるのは新戦力だけではない。昨季、ケガに苦しんだ生え抜きの28歳が、浦和をさらに強くする。

取材◎杉園昌之