■2018年8月24日 J1リーグ第24節
鹿島 1-1 磐田
得点者:(鹿)犬飼智也 (磐)大久保嘉人

 前半は一進一退の攻防を繰り広げた両者。スコアが動いたのは後半だった。71分、永木亮太のCKをニアサイドで西大伍がすらし、最後は犬飼智也が押し込んで鹿島が先制する。だが、後半アディショナルタイムに磐田がPKを獲得すると、大久保嘉人がゴール中央に決め、引き分けに終わった。

※後半アディショナルタイムに磐田の大久保(写真中央)が同点PKを決める 写真◎Getty Images

相手の心理を読む

 敵地で苦戦を強いられていたサックスブルーのイレブンを救ったのは、背番号22だった。「苦しい展開にはなったけれど“最後の粘り”はジュビロの持ち味。最後に得点を取れてよかった」と、大久保は敵地での勝ち点1獲得に安堵の表情を浮かべた。

 起死回生の同点ゴールは、後半アディショナルタイムに生まれた。磐田が1点を追う場面で、鹿島の選手にペナルティーエリア内でのハンドがあり、PKを獲得。そのチャンスで大久保が、ゴールマウスの“ど真ん中”にシュートを突き刺した。

「(蹴る前から)真ん中に蹴ることは決めていた。アントラーズのGK(クォン・スンテ)は俊敏性があるし、横の動きには自信を持っていると思う。それに、GKは飛ばないと、(PKを)入れられたら後悔する。だから、絶対に飛ぶ、と思っていた」と、自信を持ってキックを成功させた。

 絶対にGKは飛ぶ――。相手GKの心理を読んで、確実にゴールネットを揺らす。まさに“熟練のストライカー”がなせる業だろう。

「シーズンはまだまだ」

 6月に川崎Fから磐田へ移籍し、ここに来て2試合連続ゴール。しかも、今節のゴールは、土壇場でチームに勝ち点1をもたらす貴重な同点ゴールとなった。磐田でもその存在感を示している。

 だが、過去に3度のリーグ得点王を獲得している点取り屋は、まだ満足していない。

「(2試合連続ゴールは)何も意味を持たないです。(シーズンは)まだまだありますから。徐々に良くなっていると思いますし、1試合1試合を大事にしていきたい」

 新天地へと戦いの場を移した36歳のアタッカーは、これからも貪欲にゴールを目指す。

取材◎小林康幸