■2018年8月5日 J1リーグ第20節
浦和 0-0 長崎

 浦和と長崎は互いに決め手を欠いて、スコアレスドロー。浦和は守備ブロックを作って守る相手を最後まで崩せなかった。長崎はカウンターの好機を鈴木武蔵が生かせずにノーゴールに終わった。

※槙野はしぶといマークで長崎のFW陣を封じ込めた 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

「我慢強く戦えている」

 浦和が負けなくなった。リーグでは7戦黒星なし。長崎戦はドローで終わったが、2戦連続で無失点に抑えている。試合終盤に失点を重ね、勝ち点を逃し続けてきたシーズン前半戦の姿も今は昔だ。敵将の高木琢也監督は、オリヴェイラ監督が率いる浦和の印象をこう口にする。

「負けないチーム。ディフェンスがオーガナイズされている」

 ブラジル人指揮官がチームを再建するために取り組んだのが守備の整備。リスク管理を徹底し、後半の失点数を減らすことを掲げた。W杯の中断期間中は攻守の切り替えを見直し、スタミナを強化した。

 少しずつ成果は出ている。20節時点で16失点は広島、川崎Fに次いで少ない数字。守備陣の中心となる槙野智章は、確かな手応えを得ていた。

「我慢強く戦えるようになっている」

 長崎戦では疲労が蓄積してくる終盤になっても足を止めず、しつこいマークで相手FWのファンマを封殺。マークの受け渡しで躊躇することもなく、状況に応じてマンツーマンで対応。どこまでも相手を追いかけ、熱のこもったタックルでピンチを救っていた。

「開幕前に守備陣だけで集まって、リーグ最少失点を目指そうと話したんです。そこは僕らが設定したラインなので」

 守備陣を引っ張る男の言葉には覚悟がにじんでいた。攻撃面の課題は残っているが、ようやくチームの地盤は固まってきた。選手たちの口から「安い失点」という嘆き節をすっかり耳にしなくなった。

取材◎杉園昌之