第101回全国高校サッカー選手権の決勝が9日、東京・国立競技場で行われた。岡山県代表の岡山学芸館と京都府代表の東山の対戦は、オウンゴールで先制した岡山学芸館が前半終了間際に同点に追いつかれるも、後半に木村匡吾が勝ち越し&ダメ押しゴールを決め、3-1で勝利。岡山県勢初となる優勝を飾った。

上写真=選手権初優勝を成し遂げた岡山学芸館の選手たち(写真◎小山真司)

■2023年1月9日 全国高校サッカー選手権 決勝(@東京・国立)
岡山学芸館 3-1 東山
得点者:(岡)オウンゴール、木村匡吾2
     (東)真田蓮司

らしさを貫いた岡山学芸館

 先制点は予期せぬ形で生まれた。25分、岡山学芸館のFW今井拓人が右サイドを抜け出し、ゴール前に低く鋭いクロスを送ると、東山の主将で守備の要である新谷陸斗が戻りながらのスライディングでクリア。しかし枠外に蹴り出すことはできず、ボールは自陣のゴールの中へ転がってしまった。

 オウンゴールで先制を許した東山は、ボールをつなぎ、縦パスでテンポを変え、幅も使って相手ゴールを目指していった。岡山学芸館も堅い守りで対抗していたが、前半終了間際の44分、ついにネットを揺らしてみせる。パス交換しながら攻め筋を探ると、松橋啓太のパスを左サイドに開いた北村圭司朗がフリーで受けてボックス内に進入。バイタルエリアに流したマイナスのボールを、走り込んだボランチの真田蓮司が右足でとらえ、ゴール右に突き刺した。

 鮮やかな崩しで同点とした東山は後半、その勢いを駆って逆転を目指した。だが、岡山学芸館がその勢いに飲まれることはなかった。逆にサイド攻撃を展開し、ゴールを手にしてみせる。中央から左サイドへ展開し、カットインする田口裕真の背後を回って中尾誉がオーバーラップ。ボールを引き取ってクロスを上げ、ゴール正面で待っていた木村匡吾がヘッド一閃。岡山学芸館が再びリードを奪った。

 その後、一進一退の攻防が続いたが、85分に勝負を決める得点が入る。敵陣右サイドで得たスローインの場面で、福井槙が放ったロングスローのこぼれ球を、またも木村匡吾が右足ボレー。東山の猛攻に耐えつつ、鋭い攻めを繰り返していた岡山学芸館が、磨いてきた形で勝負を決める3点目を記録した。

 東山も最後までゴールを目指したが、岡山学芸館も集中力を切らすことなく、要所を締めて得点を許さず。101回目のファイナルは3-1で決着した。

「夢の舞台でこんな素晴らしい試合をしてくれた選手たちに感謝したいです。苦しいコロナ禍という状況でしたが、きょうピッチに立ているメンバー、サブのメンバー、それからスタンドで応援しているメンバー、135人でチーム一丸となって日本一とれたので、本当にうれしく思います」(岡山学芸館・高原良明監督)

 ボールを大事にしつつ、縦に速いサッカーを磨いてきた岡山学芸館。初優勝を飾るとともに、岡山県勢としても初となる優勝を成し遂げた。